<BRODRE> 2004年デンマーク/2007年12月日本公開( 117分) 監督: スザンネ・ビア 製作: シセ・グラム・ヨルゲンセン 製作総指揮: ペーター・オルベック・イェンセン 原案: スザンネ・ビア, アナス・トーマス・イェンセン 脚本: アナス・トーマス・イェンセン 撮影: モーテン・ソーボー 音楽: ヨハン・セーデルクヴィスト 出演: コニー・ニールセン,ウルリク・トムセン,ニコライ・リー・コス,ベント・マイディング,ソビョーリ・ホーフェルツ,パウ・ヘンリクセン,ローラ・ブロ 他 〔ジャンル:ドラマ〕 穏やかな人柄で、当然妻と二人の子供とも仲良く暮らし、そして兵士としてエリートでもあった男ミカエルが、戦争の為赴いた異国の地から帰ってきたとき、まるで別人のようになっていた。 戦地でミカエルが死亡したと一旦聞かされていた一家は悲しみに暮れ、それでも前向きになんとか進もうとしていた。 それまで素行の悪かったミカエルの弟が、ミカエルの妻と子供を支えてきた・・ ****** スザンネ・ビアの描く戦争シーンってどんなのだろうなんて思ったけど、 交戦や何かが取り上げられるのでなく、話しのメインである状況が一変してしまった家族達の絆や葛藤、関係性を描く為、一人の人間が心理的に強烈な打撃を受ける要素を「戦争」で描いたという感じでしたね。 弟のヤニックとミカエルの妻サラの微妙な関係もどこか切ない。 超えてはいけない線の上で踏みとどまっているような様子が。 ミカエルの葛藤もほんとにキツイね。 本当に優しい人間だったからこそ、その罪の重さに耐えかねる。 問題の内容が深刻だし、確かにズシンとくる。が、同監督の中で考えると、映画そのもののパワー、、というか、作品として私の心に響きやすかったのは、他のものだった気がする。ってこれでまだ3つめだけど(笑) もしかしたら、この夫が戦争によって体験し苦悩した状況については、ほかに秀作がたくさんあるからなのかもしれないけど。 ![]() |
〔ジャンル:ドラマ〕 タイトルとジャケから想像するのとは異なるシリアスな作品だった。 人種差別を根底に、お互い息子を失った孤独な白人男性と黒人女が偶然の重なる中特別な想いを抱き惹かれあう話。 今尚、自分の看守という職業に対してとてもマジメなハンク、黒人の死刑囚にも真摯に対応するが、実は、黒人に対し酷い人種差別観念を持つ父と同様ハンクもその主義を持っていた。 一方、彼の息子で同じく看守のソニーは差別主義は全くなく、黒人の友人ももちろんいた。ある日ソニーはハンクと言い争う中突然自殺する・・ ****** ハンクは息子を亡くしたことで、自分の中で何かが壊れ変化したのかな。 そしてそんな中、息子が事故にあい悲しみに打ちひしがれる黒人女性を傍で見て、色は人にとって何の違いも無い事を肌でわかったのではないだろうか。 日本人の私達にとって黒人差別の根強さがどれほどのものなのかはわからないけど、私は、この主人公の感覚の変化を意外とすんなり受け入れられましたね。そして二人が徐々に本当の愛情を持つようになる事も。 なんか全然予想していなかっただけに(!?)なかなかでしたねぇ。 最後のあのハル・ベリー演じる女性の心境は、どうなんだろうね。受け入れられたのかな。。 だからあの時点でバラしときゃよかったのに(笑) そしてこれ、ハンクの息子役でヒース・レジャーが出てる訳ですねぇ・・ ヒース、先日突然死したばかりで一部大騒ぎになっておりますね・・自殺かはたまた、どうだったのか・・ 個人的には彼の映画少ししかみていないけど、謹んでお悔やみ申し上げます。合掌・・ 【受賞メモ】 ◆2001年アカデミー賞 : ・ 主演女優賞 (ハル・ベリー) ◆2002年ベルリン国際映画祭 : ・女優賞( ハル・ベリー) ![]() |
ゲイの男性に対し「結婚とか恋人とかは関係なく、ただ子供が欲しい。いいお父さんになれそうな目をしたあなたに協力して欲しい」と突然申し出る女性。子宮を摘出しないといけないかもしれない彼女は思い切った行動に出る。 申し出をきっぱり断れないその男性に対し、その恋人(当然男性)は気が気ではないが・・ ****** 人生をごく普通の人達のように歩むことが出来ずそれぞれ孤独感を抱えていた3人が自然とお互いの距離感を縮めていく。 人生はまだまだいろいろあるだろうけど、自分達の進むべき道も不確かだけど、でも今は昔と違い、心の拠り所がある・・って感じかな。 中心の3人の周囲でもいろんな問題があって、それはごちゃまぜのようでいて、でもなんだかちゃんとうま〜くひとつにまとめられていて、 そもそもの結構奇抜な設定にも関らず無理やり感は全くなく、ごく普通っぽい感じでみてるんだけどなんか面白かった。 そして、彼ら3人のはっきりした結果が出る前に話しも終わってるけど、すごくすがすがしい気分になれる終わり方。 子作りの事も、社会的に難しい問題ではあるけど、重くならず考えられる。 役者さん達もみんなよくってね。特に片岡礼子良かった!難しい役どころなんだろうけど、ごくナチュラルでもあり。 そして、つぐみもすごい表情してたね(笑)ああいう女性ほんとにいそうでリアルに怖い^_^; その他サブキャラ達もみんなちゃんと立ってて良かった。 光石研はもちろん、チョイ出の岩松了もお父さんも、秋の陽子もゲイの人たちも。みんな味があった。 ほんとチョイ役で加瀬亮も出てた。 さり気にいいよね、これ♪ ![]() |
マジメで温厚、人当たりもとてもよく、親のガソリンスタンドで働く兄、稔。 田舎から東京に出て一流カメラマンとして活躍する、しがらみに捕われない自由人の弟、猛。 仲の良い兄弟ではあるがその性質は対照的な二人。 二人の知るある女性がつり橋から落ちて死亡する事件をきっかけに、そんな二人の間の心理が揺れ動く様が描かれる。 男兄弟でなくても姉妹、親友、ごくごく近しくて大事な人であるのに、また別の感情が自分の心に擡げかかる・・ そんな感覚に人知れず頷いてしまう人も多いのではないかと思う。 まず最初に女性をめぐって、猛の中にある兄への複雑な感情が露になる。 そしてそれに感づく稔の笑顔と背中・・ すぐに後味の悪さを憶える猛・・ 明かされるは罪の行方、重さのはずの裁判で、兄弟がお互いどこかずっと引っかかっていた相手への感情が、露呈されていく・・ 唯一の目撃者である猛のフラッシュバックでもって、観客ものちのち事件の事実の断片を映像で見させられるわけだが、その映像さえ、猛の感情に揺らされる記憶であって・・・ 感情が揺れ、記憶もゆらぐ。全てのものが危うくゆらぐ。 「ゆれる」という主題でもってうまく描写・表現された話ですね。 まぁとにかく香川照之がすごい! オダジョーもすごいと聞いていたし彼本人ももうこれで役者を辞めても良いと思えるぐらいと比喩的に語っていたが、 私は彼のほかの映画のキャラのほうが良かったと思った。 これも良かったけど、今までで一番なのかな?と観る前に勝手に思っていたので。 香川さんがすごいから余計そう感じたのかも知れんけど。 稔がバスに乗ったか乗らなかったか(猛の元へいったのかどうか)、その後を描いていないのは、後は皆さんのご想像で。・・ということじゃないように私は感じた。 もうあの笑顔が一つの答えな訳なんだよね・・・ ![]() |
“ELI, ELI, LEMA SABACHTHANI?” とは、 「神よ、何故に我を見捨てたもうや」<マタイ27章 46節> というイエスが十字架に張り付けられながら唱えた最期の言葉のことらしい。 舞台は2015年の近未来。正体不明の致死ウィルスが蔓延した世界。 感染者はある日突然自殺してしまう。 有効な治療法も見つからない中、日本のあるミュージシャンが作る音楽を聴くと治療効果があるらしいとの臨床結果が・・ 人間の前進、生に向かう意志を謳っているのですか? はっきりいって、面白い要素が全くわからなかった。 ストーリーは何の複雑さもないが。複雑さがあるとすれば人の感情。しかし・・ またこれ何を意識してるんでしょうかぁ・・・ ストーリーも、映像もぴんとこず、ちょっとだけ未来的なものを意識したセットも世界観が中途半端にしか私には映らず。。 数箇所でも印象的なシーンがあればまたこの手の映画に対する感想は変わってきそうな気がするんだけどね。。 無理やり最後まで観たけどやっぱりなんもなかった。 まぁ、この後の「サッド・バケイション」では鼻に付く感じが取れた感じだったのでよいのですが(笑) ![]() |
主人公マックスは学校の成績は悪いけど、そのバイタリティと様々なひらめきについては天下一品。 も一つ、とっても勘違いな野郎でもある。 そんなわが道を行く彼のハチャメチャ学園生活(?) そんな彼と意気投合し、友人になる会社社長はいい年のおっさんのくせして精神年齢はマックスと一緒なんだ。 くたびれたオヤジの役にビル・マーレイはほんとはまる!! 情けない哀愁が、いいねぇ(笑)常にどこかコミカルだしw マックスってイタい奴なのは間違いないけど、純粋っちゃぁ純粋。 奇行の多い奴だけど、でもマックスなりに色んな体験をして徐々に心が成長していく。 そして周囲の皆も少し幸せに出来るようになる。 コメディながら、実はほろ苦青春映画ってヤツだね^m^ マックス役のジェイソン・シュワルツマンは本作がデビュー作、そしてコッポラ一家と親戚だそうだ。顔そのものがインパクトある彼、ナイスなキャスティングだよねw 父親のキャラ設定もさり気に好きだなぁ。なんか癒される(笑) これ系って「玄人さん」とかがすごく好みそうなテイストなのかな。 それに“こういうの”ってまた、自分が何気なく見過ごしている中にもすんごい計算とか緻密にされてんだろうな(笑) 逆に、全く肌に合わない人もいそうな気もしないでもない!?^_^; 【受賞メモ】 ◆1998年インディペンデント・スピリット賞 : ・監督賞 ・助演男優賞 (ビル・マーレイ) ◆1998年全米批評家協会賞 :・助演男優賞(ビル・マーレイ) ◆1998年NY批評家協会賞 :・助演男優賞(ビル・マーレイ) ◆1998年LA批評家協会賞 :・助演男優賞(ビル・マーレイ) ![]() |
ドライヤー監督初のサウンド映画。 そして、人に噛み付く様子は一切出てこないヴァンパイア映画。 とある城に宿を取ったアラン・グレイ。そこはただならぬ気配が漂い、不可思議な人物たちが徘徊していた。 突如自分の部屋に訪れた老人は、謎のメッセージと、「自分の死後これを開いてくれ」とある物をグレイに委ねる。 そしてまもなくその老人は死に、例の荷物を解いてみるとそれはヴァンパイアに関する記述の乗った一冊の本だった・・ タダでさえ不気味な雰囲気漂うとある町。 人のシルエットだけがそこかしこを動き回る。 それは人間の魂であり、時折体から離脱し、また元にもどる。 老人の死後空けた本の内容は、現実の出来事とリンクする・・ 採血されたグレンは自らも不思議な体験をする。 グレンさえも魂の離脱が起こり、棺おけの中の自分を見つめる。 棺おけからのショットはとても印象的だ。 シルエットとしての魂の彷徨いだけでなく、全てのもののシルエット(影)がとてもインパクトがある。 へんな不気味さがジワジワと伝わってくる。 恐摩訶不思議な世界。どこからどこまでが、どうなのか・・。 台詞と音楽はあるものの、サイレント映画だったとしても その映像から十分満足できる。(そもそもまともな台詞は少ないし。) ![]() |
ジャンヌ・ダルクが裁判にかけられ火あぶりになるまでの様子を、 フランスに残る裁判記録をもとに、実際5ヶ月以上もかかった歳月を1日の時間軸で描かれた作品。 彼女が戦火の中活躍する姿ではなく、大勢の修道士に責められ 死と向かい合い、弱々しくも凛とした彼女の様子が捉えられる。 カール・Th.(テホ)・ドライヤー。カール・テオドール・ドライエル。等、 カタカナ表記だと色んな名を持つ監督さん^_^; 本作はサイレント映画の傑作のひとつと謳われてるものですね。 きっと他のどのジャンル・ダルクよりも、この映画で彼女の姿を知ることが(見ることが)できてよかった。深い根拠もなくそう思っているのです。。 30cm程の至近距離から登場人物の顔を捉え、そしてそれに見事にハマる役者達の幅広い表情(演技)。 すごく迫力がある。様々な感情がひしひしと伝わってくる。 出演者全てノーメークだそうだ。 ジャンヌ・ダルクを演じるのは当時モデルと舞台女優で活躍する方。 本作が唯一の映画出演だそう。 常に流すあの涙は全て本物で、彼女が自然と涙を流すまで監督は時間を取ったらしい。 火あぶりのシーンはほんとに特に引き込まれる。 彼女が生きている間は彼女の体と炎は別々のショットで撮られ、 煙だけが二つに共通するのだけど、彼女のその演技により、 映画の雰囲気により、今からだが燃えているのだと、リアルに伝わってくる。 そして、煙が充満する中それを悲痛な顔で見守る群衆、 既に焼死体となった彼女の体を一層の火が包み込み、その煙が延々と立ち込めるなか我慢の限界を通り越し暴挙となる群集と立ち向かう兵隊・・・ マジですごいです。 素人にとっては1920年代というこの時代にどのショットがどれだけ凄いことなのか具体的にはわからないけど、ただ一人の観客として、圧倒されるのは間違いない。 ずっと見たくて見たくて、でもレンタル屋にもなくリバイバルもなく悶々としていた中 とうとう昨年見たことないままDVDを買ってしまったというマイコレクションの一つ。 結局その後地元の隣県でこの完全版がリバイバル上映されたけどね(笑) まぁ、そんなもんだ。買った事に後悔はなし。 ![]() |
![]() <EFTER BRYLLUPPET> 2006年デンマーク・スウェーデン/2007年10月27日日本公開(119分) 監督: スザンネ・ビア 製作: シセ・グラム・ヨルゲンセン 製作総指揮: ペーター・オールベック・イェンセン,ペーター・ガルデ 原案: スザンネ・ビア,アナス・トーマス・イェンセン 脚本: アナス・トーマス・イェンセン 撮影: モーテン・ソーボー 音楽: ヨハン・セーデルクヴィスト 出演: マッツ・ミケルセン,ロルフ・ラッセゴード,シセ・バベット・クヌッセン,スティーネ・フィッシャー・クリステンセン,クリスチャン・タフドルップ,フレデリック・グリッツ・アーンスト,クリスチャン・グリッツ・アーンスト,イーダ・ドゥインガー 他 〔ジャンル:ドラマ〕 本作は「ドグマ‘95」ではなかったようですが、今回もハンディカメラ撮影で臨場感たっぷり、いま思い返してみると「セット撮影」もまた無かったかな? まぁとにかく、これ観て改めて気付いた。 映画の中で完璧一つの世界が作られてるんだけど、でもその世界と私たち見る側の距離感が、すんごく近い感覚に陥るんだ。 リアリティというか、「近い」ね。 大事なものを持つそれぞれの人達の立場、葛藤、そして選択が、静かに、時に熱く、ジワジワと描かれます。 主役は「しあわせな孤独」でお医者さんだったマッツ・ミケルセン。 あの社長の思惑は、身勝手とも言えるだろう。 彼の皮算用が後々本当にうまく行くかどうかもわからないよ。 だけど、それでも。 愛するものを守りたいと強く願う思いは誰も同じだから。 ヤコブがインドの孤児達には自分が必要だと思うのと同じ事だから。 結果、こんな究極チックな選択が強いられる事になってしまう・・ 社長が思いっきり恐怖を爆発させた時はほんと、溜まらんかったなぁ・・ それにしても、あの孤児の子がちょっとかわいそうなんだけど・・(笑) 結構何度か泣いてしまった。 ここんとこ劇場鑑賞時は泣かされてばっかの気がするぞ!? 地元では来週は同監督の別作品「ある愛の風景」も公開予定。必見♪ またハリウッドに活動を移しての最新作も今春頃に公開予定だし。 ほんと楽しみだ。 ****** 鑑賞後に心置きなく本作のチラシを読み返してたら、監督がハリウッドで次作を作っただけでなく「しあわせな孤独」と「ある愛の風景」がハリウッドリメイクされるらしい。 別にハリウッド物を貶すつもりも全く無いけど、 何でもかんでもリメイクしすぎじゃない?(笑) リメイクのまえに元ネタをもっと大々的に宣伝&公開したらいいのに・・・ ![]() |
![]() <REIGN OVER ME> 2007年アメリカ/2007年12月22日日本公開 (124分) 監督・脚本: マイク・バインダー 製作: ジャック・バインダー,マイケル・ロテンバーグ 製作総指揮: ジャック・ジャラプト,リンウッド・スピンクス 撮影: ラス・オルソーブルック 音楽: ロルフ・ケント 音楽スーパーバイザー: デイヴ・ジョーダン 出演:アダム・サンドラー,ドン・チードル,ジェイダ・ピンケット=スミス,リヴ・タイラー,サフロン・バロウズ,ドナルド・サザーランド,マイク・バインダー 他 〔ジャンル:ドラマ〕 アダム・サンドラーってよく活躍されてるもののこれまで彼の作品ってあまり興味を持ったものが無くほとんどまともに観たことない・・。 なんとなーく勝手に持っていた彼へのイメージとは全然別だった。 よかったよ。 アメリカ9.11事件で妻と子供を奪われ、そのショックから立ち直れぬまま辛い記憶を硬く閉ざして生きるチャーリー(アダム・サンドラー)。 歯科医で家族にも恵まれ、女性にもそこそこモテるものの、今の生活や自分に何か漠然とした不満をもち悶々と暮らすアラン(ドン・チードル)。 大学時代親友だったこの二人が偶然街で再会し、改めて友情を深め、お互い心に抱える問題が少しずつ癒されていく。 人の心の傷なんて、通り一遍等なやり方で何でも直るわけじゃなく。 本人にとってどうする事が最善の方法なのか、何が優しさなのか・・ 辛い過去に記憶も耳も閉ざし、ただ毎日を自由に暮らすチャーリーに振り回されつつも、アランは彼の傷を救おうと親身になる。 そしてアラン自身もチャーリーと時間を共にすることで、生活に活気を感じ、自己の問題が徐々に好転していく。 チャーリーたちの心の傷はすごく深刻だけど、クスクスッと笑える部分も結構あり、決して重いノリで進んでく訳じゃ無い。 チャーリーに関る人々が一同に介する裁判所のシーンでは、チャーリーの悲痛な様子にもかなり心痛められたし、 それだけでなく、事情を知らなければ一見風変わりな男にしか見えないこの男を必死で守ろうとする周囲の人の思いも最高潮に高まり伝わってくる。 アランだけじゃなく、税理士さん(マイク・バインダー監督)も、セラピスト(リブ・タイラー)も、家主さんも、、みんなの心配する様子もほんとに印象的だった。 ドナルド・サザーランド演じる判事さんがあとであの小憎たらしい弁護士をやりこめる所は気持ちよかったー(笑) とても切なくてそして少し温かいお話し。結構良かったですね。 ![]() |
過激というほどの描写は無いながら、かなりエロティシズムが濃厚に詰まった作品だと思う。 かといってR18指定なのはエロティックだからなのではなく、心身ともに影響を受けやすい若年層に(といっても主人公の女性は21歳と一応成人なのだが) このような完全なる囚われの身を見せることが危惧されたのではないかと思えたりもする。 それぐらい、その他の社会から切り離されたかのようなあの建物の中で二人が作り上げる世界は、そして彼女の精神状態はまさにスムーズに、“そこ”に堕ちていく・・ 昔女子寮だったあの建物そのものがミステリアス。 結局素性がよく明かされないままの子供やその他の住人は、そんな建物の雰囲気を演出する為の道具のようだった。 得体の知れぬ魅惑を持ち合わせた博士からプレゼントされた まさに自分にピッタリの「靴」を履いた彼女は、 生活&心のバランスが不安定っぽかったそれまでの生活から、徐々に、 まるで暗示にかけられたかのように、また、自分の欲望にも突き動かされるかのように 自分の“居場所”へ歩を進めていく事になる・・ 標本にするものがないと答えた女性が後に見つけた対象物は・・。 まるでラボそのものが、博士にとっての標本の器であったかのようだ。。 それにしても主人公の艶々した生足の美しさがメチャ印象的!(笑) 夏の気温に汗ばむ肌もじっとりとした空気の流れやエロさ^_^;を助長する。 原作は読んでないので本来の意図はわからないけど、 それでも、どれが正解というのではないといういい具合の幅が映画にはあって、映画単体としてとても引き込まれた。 もし欲を言うならもうちょっとあの同居者の男性との気持ちの行き来を引っ張っても良かったような気もするけど。 結局あっちから逃れられないというのが一層感じられそうな気もしてね。まぁ、全然いいんだけど(笑) 十分満足させていただきました。 ![]() |
![]() <GRBAVICA> 2006年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ/オーストリア/ドイツ/クロアチア製作(95分) 2007年12月1日日本公開 監督・脚本:ヤスミラ・ジュバニッチ 製作:バーバラ・アルバート,ダミル・イブラヒモヴィッチ,ブルノ・ワグナー 撮影: クリスティーン・A・メイヤー 出演: ミリャナ・カラノヴィッチ,ルナ・ミヨヴィッチ,レオン・ルチェフ,ケナン・チャティチ 他 〔ジャンル:ドラマ〕 貧しいながら母娘仲良く暮らす二人。父親は紛争で亡くなったシャヒード。 母親の苦悩と子供への深い愛、そして、子供の成長がじっくりと描かれる。 娘が知らない母親のある秘密については私たち観客側は割と早くに想像がつく。 その過去の経験によるトラウマに耐えながら、生活の為、子供の為必死に逞しく生きようとする。 子供がその事実を知り、ギクシャクしたあと、あのバスでの姿を見てハッと喜ぶ母親の姿が、そこはアッサリ目に描かれるもののこちらもすごくきゅんと嬉しくなる。 この家族の心の傷からの再生だけじゃなく、意外と心に残るのが、 どこでもまるで時候の挨拶のように犠牲者の話題が出るという実態・・・。 ボスニア・ヘルツェゴヴィナあたりの事情というと、個人的には大好きなクストリッツァ監督作でよく目にしてきた。 本作の主役ミリャナ・カラノヴィッチもクストリッツァ監督常連さんですが、この映画では紛争の悲惨さを、争う様子も銃も使わず、深く深く心に傷を負った人達の「いま」を描く事で表現している。 本作の監督さんもサラエボ出身だそうで、これがデビュー作なんだそうだ。 女性監督というのがうなずける内容かもね。 ストレートに、そして丁寧に、今も残る争いの傷を背負いながら前を向いて生きようとする人々の姿を ある種尊敬の念を持って捉えたような、そんな作品だと思う。 【受賞メモ】 ◆2006年ベルリン国際映画祭 : ・金熊賞 ・エキュメニカル賞 ・平和映画賞 ![]() |
まずこの設定に完敗ですね。 人の存在、孤独、愛情、交わり、などなど、こんな表現の仕方もあるんだと、改めて思う。じんわり、ひしひしと伝わってくる。 空き家に入り込んで生活をする、いわゆる社会から見て「実態のない男」 そして心にぽっかり穴の開いた女性が唯一その存在を見つけ、捉え、 自分自身もその世界に馴染んでいく。 そして男は、世の中にとって影の存在となることを身につける。 彼女以外の目では、彼を捉える事は出来ない。。 そこには虚しさも、切なさも、激しさも同居し、 究極の愛の形のひとつを見せつけられた気がする。 噂に違わずいいです。これ。素直に。とても。 【受賞メモ】 ◆2004年ヴェネチア国際映画祭 : ・監督賞 ![]() |
冷静に考えると結構単純なストーリーって気もするんだよ(笑) それでもね、独特の空気感があってね。 これまで良かった的噂はとりたてて耳に入ってこなかった本作だけど 私は全然OKですね。これ。好き系ですよ。 ダメダメ男が人生に行き詰って自殺を考えたその時、目の前にモデルばりのナイスバディ美人が現れ、自分より先に川に飛び込まれてしまう。 あわててそれを助けた男。そしてそれからその美人は男と行動を共にする・・ 人間臭くて、そしてああいう結果になる天使ってなると私にとってとっても大好きな『ベルリン天使の詩』がどうしても浮かんでくるけどテイストは全然違うので比較する気は全くならないし。 でもこっちも騒がしい割に結構哲学的台詞をかなり噛み砕いた感じで出てくるよね。 ベッソン監督って、シリアスからさり気に外す雰囲気が、好きなんだなぁ。 ラブ・ストーリーではあるけど人生に疲れた人たちへの励まし的な雰囲気もね、有り得ない設定とかクサイ要素もうまくすんなり入ってくるって感じ。 素直になって愛を告白するアンドレが愛しい(笑) ちょっとほんわかステキな気分になれるんじゃないかな。 ![]() |
リュック・ベッソン監督が若干24歳の時に撮影した記念すべき処女作。 一旦世界が滅びてしまった後の荒れ果てた近未来が舞台。 生き残っている人間は、環境汚染により言葉を無くす。 ある場所では二人の男がある女性を巡って対立を続けていた。 ・・・これらの情報だけでも観る前に知っておかないと戸惑う事でしょう(´∀`;) ある女性を巡って・・はおいおいわかるけど。 それもかなり説明排除されている。 残された数少ない人間はみな言葉がしゃべれないので 当然ながら台詞は一切無く。そしてモノクロ映像です。 デビュー作からジャン・レノと組んでたんだね。 まず荒廃した世界そのものが基本好きだしベッソン監督のデビュー作だし、 個人的には多分最初から好意的に受け止めていたと思うので “それなり”に鑑賞できたけど、何か一つでも興味あるキーワードが無い人は取り立てて見なくてもいい映画なんだろうと思いますよ(笑) でもね、独特の世界観はやっぱありますよ。 それに冒頭のあのインパクトも好きだしw空から魚が降ってくるとか?な設定も、 ジャン・レノとジャン・ブイーズって人との対決の雰囲気やアプローチも “ならでは”な感じがする。 極端な設定ではあるんだろうけど、設定そのものが現代社会への警鐘なのかな。 誰しもにオススメする気は全くなれない映画だけど個人的には見といてよかったと思えます。 【受賞メモ】 ◆1983年アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭 : ・審査員特別賞 ・批評家賞 ![]() |
バツ2経験を持ち、現在は既に次の恋人もいる主役の女性。 過去の人生順調に進んできたわけじゃないけどそんな経験を踏まえつつ、常に前進あるのみといった感をうける。 そんな彼女と平行して描かれるのが彼女の2度目の夫だった男性。 彼は彼の奇行を訝しく感じた友人のせいで精神病院に入院させられる羽目に。 ほんとにちょっとおかしいのか、逆に純粋なだけなのか、微妙なラインが見もの。 特に大きな出来事が用意されている訳ではないけど 彼らのひととなりや身近な日常の世界を淡々とした割に テンポ良くも感じられる雰囲気で描かれる。 個人的には主役のエマニュエル・ドゥヴォスが「美人」として扱われるのがどうしても納得できない(笑) この人綺麗なの!? 冴えない女という設定の「リード・マイ・リップス」だけは納得ですんなり映画にも入れたけど。。 この映画で一番印象深かったのはやっぱりあの父親の告白文。 ある意味下手なホラーより怖かったかもね(笑) 溺愛してるかのように見えた自分の娘にあそこまで辛辣な言葉を浴びせまくるとは・・! それも一種の愛情の形ですか!? いやー、引いたひいたW 一方前の夫役を演じたマチュー・アマルリックはこういう役すごくハマるよね。良かった。 個人的イメージかもしんないけど。 彼もなんか目で追ってしまうなぁ。私。外見は全く関係なく。 後々知ったが、なんか結構評判いいらしい。この映画。 うーん、私はそこまでは感じてないんだなぁ。 もちろん観てるあいだ何一つ退屈しなかったとは思うけど。 それもこれも、エマニュエルの「美人」扱いが肌に合わないからか!?(笑) ![]() |
セラピーを受けに来た女性が、精神分析医と同フロアに事務所を構える税理士を精神分析医と間違えて自分の悩みを告白。 はじめは中途半端に会話があってしまったもんだから、途中からおかしいと気づいた税理士ももう後に引けず彼女の話を最後まで聞き、その上次の予約を断ることも出来なかった。 そんなひょんな出会い方をしてしまった二人、 間違いだったと気づいた後も彼女は税理士のその男性に秘密を明かしに来る。 そして税理士もどんどん彼女に引かれていく・・ ゆがんでいるようでその実メチャメチャピュアでもあって・・ ほんと愛の表現を見せるのに変わった状況を設定できるもんだ。 脚本はルコントではないにしろ、大人のエロチシズムはやっぱり彼の得意技なのか・・。 プラトニックな関係性の中にたゆたうぎりぎりのエロ加減というかですねぇ。 微妙な距離感がいい感じですねぇ。 「仕立て屋の恋」的大人の愛し方で「橋の上の娘」的二人の距離感と共有できる感覚・・?うーん、ぜんぜん違う(笑) まぁ、同監督作品の中で考えると甲乙分かれそうな気もするのですが、私は結構良かったですね。順位は高くなくとも^_^; ![]() |
<GENEALOGIES D'UN CRIME> 1996年フランス製作/日本未公開(112分) 監督: ラウル・ルイス 製作: パウロ・ブランコ 脚本: パスカル・ボニツェール,ラウル・ルイス 撮影: ステファン・イワノフ 音楽: ホルヘ・アリアガータ 出演: カトリーヌ・ドヌーヴ,ミシェル・ピッコリ,メルヴィル・プポー,アンジェイ・セヴェリン,ベルナデット・ラフォン,モニク・メリナンド,ジャン=イヴ・ゴーティエ,マチュー・アマルリック 他 〔ジャンル:ドラマ・サスペンス〕 カトリーヌ・ドヌーヴが殺人罪で捕まっている青年を弁護する弁護士と青年に殺された叔母という二役で出演。 事件の真相を調査する過程で見えてきた過去の世界と現在との時間軸が交差しながら描かれていく。 マッタリとしたサスペンスというか、彼らを盗み見るような撮り方とか複雑且つ思わせぶりな深層心理とか、その筋の王道を見てるような感覚。いや、サスペンスの王道ってどんなのかわかんないけどさ、とにかく落ち着き度合い、貫禄が感じられる。 渋い役者陣のせいもあるんだろうけど。 サスペンスチックといってもスリリングとかミステリアスといった要素がある類では無く。 精神的に病んだ部分を持ちながら、その美貌と行動で一層魅惑的な雰囲気をかもし出す若い青年に翻弄されつつとりこになってしまう二人の中年女性。 ・・メルヴィル・プポーがその青年役なのでね、その魅力は説得力ありですな(笑) そして、そこに精神科医師達の存在が絡んでくる。 精神分析的な要素も多いので、字幕で見ると理解がちょっと辛かったりもするんだけどね。 ある意味一番病んでたのはミシェル・ピッコリ達の団体のような!? まぁなかなか雰囲気のある大人な映画でしたね。 あのシーンでは作った系譜をほんとに見せて欲しかったよ(笑) ![]() |
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