不動産ブローカーを生業とする青年トム。彼らの儲け方は一般的なそれとは違い、汚れた裏家業的方法。時に暴力や荒業でもって仕事を片付ける。 そんな世界で生きるトムはある日、今は亡きピアニストの母親のマネージャーをしていた知人に偶然再会。彼にオーディションを受けることを勧められ、トムの心の中に再びピアニストを目指す夢が湧き上がってくる・・ *********** これってハリウッドのフィルム・ノワール作品をリメイクしたものだったんですね。リメイク元は「マッド・フィンガーズ(’78)」 元ネタは知らないけど(でもハーヴェイ・カイテル&ノワールだし見てみたい♪) こちらはこちらで良かったですね。 スレた日常を送っている男の心に再び沸いた、ピュアな感情。 まるで普段の汚れた自分をもみ消すかのごとくピアノを弾く。 ピアノの世界へ、美しい旋律の世界へ没頭していく。 白い鍵盤をたたくその手は、手荒い稼業の報いを受けた傷だらけのもの・・というのがこれまた、ねぇ。 2年後のコンサート会場での思わせぶりな見せ方は一瞬騙されましたね(笑) そして、その後の一連の出来事で彼が溜め込んでいた様々な感情が一段と伝わってくる。あの最後のトムの表情がこれまたとても良かった・・。 それにしてもロマン・デュリス君はほんとすごいっすね。 様々な全く違う役柄をやってもきっちりすっぽりハマる、ステキな俳優さんの一人だね。 【受賞メモ】 ◆2005年セザール賞 : ・作品賞 ・監督賞 ・助演男優賞 ・有望若手女優賞 ・脚色賞 ・音楽賞 ・撮影賞 ・編集賞 ◆2005年ベルリン国際映画祭 : ・銀熊賞(音楽賞) ◆2005年英国アカデミー賞 : ・外国語映画賞 ![]() |
若くて経験も浅い詐欺師とベテラン詐欺師がひょんな事で出会い、 ちょうどパートナーを探していたベテラン詐欺師がコンビを組もうと持ちかける。 青年詐欺師は躊躇するがとりあえず1日だけコンビを組んでみる事に。 そうして細々とした詐欺行為を繰り返していく二人の前に、 大金が手に入るビッグビジネスの話が転がり込む・・ ********** いかにも胡散臭いベテラン詐欺師と基本人の良さそうな青年詐欺師。 他人に詐欺行為を行う中で、コンビ間でも常に疑惑がつきまとう。 詐欺のトリックを計画するプロセスもいいけど 仲間内でのどれがいかさまで、どこまで真実だ!? がうまく出来てるよね。 最後までそれをうまーくひっぱり、はい、ラストはこうでした! って具合。 しっかり華麗に騙されました。 ![]() で、そのラストを見た後も想像が膨らんじゃうね。 どこからどう始まって、だれが最初にあれをして・・?。なんて具合に。 内容が内容だけに少し触れてもネタバレになりそうで難しいなぁw 犯罪映画といってもハードボイルドアクションとかとは無縁なので そういうのが好きじゃない人でも楽しめるのでは。 でも劇場未公開だったんだね。もったいないんじゃない? 後にジョン・C・ライリーやディエゴ・ルナ出演で「クリミナル」として ハリウッド・リメイクされた作品もビデオスルーだったみたいだ。 ![]() |
<ANGEL>2007年イギリス/ベルギー/フランス製作 2007年12月日本初公開 (119分) 監督・脚本: フランソワ・オゾン 製作: オリヴィエ・デルボス,マルク・ミソニエ 製作総指揮: ターニャ・セガッチアン 原作: エリザベス・テイラー 撮影: ドニ・ルノワール 音楽: フィリップ・ロンビ 出演: ロモーラ・ガライ,シャーロット・ランプリング,サム・ニール,ルーシー・ラッセル,マイケル・ファスベンダー 他 〔ジャンル:ドラマ・ロマンス〕 見ると決めたものは極力事前情報を入れない派ですが、映画が始まってみると言語が英語だったので少し戸惑い。当然フランス語のつもりでいた(笑) あぁ、舞台がイギリスなのね。それぐらいは事前に知っておこうよ(笑) 主役のエンジェルの本が出版されるあたりまでのくだりは普通のコスプレ物という印象だけだったが、徐々に面白くなっていった(“オゾン映画”をみにいった者からして)。 のめり込むように執筆する姿を見てなんとなしトリュフォーのアデルを思い出してたら、最後も同じ様にノイローゼになってたね(笑) エンジェルが人生最高の時を過ごす夢のような時間、 故意の合成映像やBGMで、昔の豪華なハリウッドコスプレ映画的雰囲気をさりげないコミカルさでかもし出していく。 最初はエンジェルのキャラがいけ好かなくて(笑) もしか最後まで感情移入できなかったら面白み半減かも!?って感じてたのが、 気付けば途中からすっかり彼女の独特な性格、そして作り上げる成功・転落に 引き込まれていた。 恋愛においても結構イタい部分をお持ちですが、 それでも彼女の強烈な純粋さにヘンにとりこになってしまいそうだったかも!? “夢見る女の子は強し!”“強く信じれば願いは叶う!” そんなキーワードを傲慢で鼻に付く性格の女の子が実証していくのだ。 そして、きらびやかな夢の時間も後半になるにつれ色んな事情、恋愛感情のもつれ等が絡んできてどんどん深みの帯びた話へと進んでいく。 最後は自分の作品と同じ台詞を口にする事になるエンジェル。 エンジェルと彼女に人生を捧げたノラに涙が溢れちゃった。 オゾン監督にとって初の時代劇&英語作となるらしいが 私にとってはさらに彼の作品で初めて泣いたものになった(笑) とっかかり何分かはちょっと不安だったから余計かもしれないけど 結構満足させて頂きました♪ 誰の作品うんぬんじゃなく、映画そのものにね。 オゾン作品の特に古いものなどまだまだ観ていない私が言うのもおこがましいけど、監督のこれまでの作品を“どう好きか”によって、ファンの方々の評は結構分かれそうなのかな・・? 今回は描き方がストレートっちゃぁストレートだし。 ![]() |
出演: ナスターシャ・キンスキー,ピーター・ファース,リー・ローソン,デヴィッド・マーカム,アリエル・ドンバール 他 〔ジャンル:ロマンス・ドラマ〕 3時間近くもあったかしら。と思うほどずっと引き込まれて見てしまう。 別にスリリングでも激しい抑揚があるわけでもない。 ごく淡々とゆっくり静かに描かれているにも関らず。 お話しは、小さな村に住む貧乏なテスの一家がある日自分達が貴族の末裔だと知る所から始まる。 それがそもそものテスの悲劇の始まりだったのだ・・ 遠縁に当たるはずの貴族に生活苦を救ってもらおうと美人のテスがそこに送り込まれる。 そこでテスは情婦にされ、実家に戻ったはいいものの子供が出来、周囲からの心無い視線も受ける。そして子供は生後まもなく死んでしまう。 絶望のどん底に落ちながらもテスは場所を変えて農場で働きはじめる。 そしてそこで出会った牧師の息子と恋に落ち結婚するが、彼女の過去のせいで二人は離れてしまう・・・ ・・といった具合に、テスの波乱に満ちた半生を追ったもの。 とにかく、当時10代のナスターシャ・キンスキーが美しすぎる。 もちろん年齢がいってからの彼女も大好きですが、本作はほんと美しい。 美しいのに、不幸が常に付きまとっているような幸薄い雰囲気が出ていて・・ 広大で美しい自然の中スッと立っている姿が情感ありすぎ。 何を語らずとも、なんだかその情景からお話しが聞こえてくるのですねぇ。 ただ景色を捉えるシーンも結構あるのですが、それがうまい具合に感情に触れるのですなぁ。 コスプレ物は時にそれだけで興味が下がる可能性がある私ですが、これはいたく気に入りました。 ラストのストーン・ヘンジの登場には何かきっと意味があるのでしょうが私にはわかりませんけどねw まぁでも、事実長い映画なのは間違いないし、 あまり抑揚がないのも確かなので 人気のロマン・ポランスキーでも好みがまちまちになる事もあるかもですね。 【受賞メモ】 ◆1979年セザール賞 : ・作品賞 ・監督賞 ・作品賞 ◆1980年アカデミー賞 : ・撮影賞 ・美術賞 ・衣裳デザイン賞 ◆1980年NY批評家協会賞 : ・撮影賞 ◆LA批評家協会賞 : ・監督賞 ・撮影賞 ◆1980年ゴールデン・グローブ賞 : ・外国映画賞 ・新人女優賞(ナスターシャ・キンスキー) ◆1981年英国アカデミー賞 : ・撮影賞 ![]() |
<BADKONAK-E SAFID>1995年イラン(85分) /1996年日本初公開 監督: ジャファル・パナヒ 原案: ジャファル・パナヒ,パーヴィス・シャハージ 脚本: アッバス・キアロスタミ 撮影: ファルザッド・ジョダット 出演: アイーダ・モハマッドカーニ,モーセン・カリフィ,フェレシュテー・サドル・オーファン他 〔ジャンル:ドラマ〕 キアロスタミ監督のもとで助監督を務めた経験をもつパナヒ監督が、自分らで作った原案をもとにキアロスタミが脚本を手がけ、出来上がったのが本作。 イラン映画に多く観られる子供が主人公の作品。 本作もほんとやられます。子供目線で描く世の中に。 イスラム文化ではお正月に金魚を飾るのが慣わしだそうで、 主人公の小さな女の子の家でも池で飼っている金魚を飾る予定なのだが、彼女は近所の雑貨屋さんで見かけたきれいな金魚がほしくてたまらない。でも母親はお金をくれない。やっとお金をもらえたと思ったら今度はお金をどこかに落としてしまう・・ 日本のバラエティでもよくやってる「子供の初めてのおつかい」的なものですが、本作の見所は色々たっぷりございます。 子供から見たら普通の大人も、会話も、ちょっとした出来事も、すんごい困難なことで。 それを乗り越えるのは至難の業で。 そして、それを通して人の人間性、いやらしいところとか優しさとかが とても自然に表現されていて、子供たちの必死さと同時に引き込まれる要因でも あると思います。 素人ばかりを使った作品らしいですが一向に目が離せません。 最後は無垢な子供が故の「残酷さ」(おおげさだけどw)も ちょっとしたオチみたいになってていい感じだしね。 キレイな金魚を買う為あっちやこっちや行く女の子の服がまた金魚そのもののような赤と白のひらひらで、これもわざとなんだろうな。メッチャ可愛くて心憎いww 【受賞メモ】 ◆1995年カンヌ国際映画祭 : ・カメラ・ドール ・国際映画批評家連盟賞 ◆1996年NY批評家協会賞 : ・外国映画賞 ![]() |
同監督によるTVシリーズ「デカローグ」から第6話を映画化した作品。 友人宅に間借りして暮らす郵便局員の19歳の少年は、毎日向かいのアパートに住む年上女性の部屋を望遠鏡で覗き見るのが日課だった。 彼は彼女を、本気で愛していた。手段を講じ、彼女の近くに寄れる機会を増やす。彼女の恋人との情事を邪魔する。 でも、彼女は少年の存在を知らない・・。 ある日、とうとう彼は自分の気持ちと覗き見行為を彼女に明かすのだが・・ ******* 「愛情なんてない」と、酸いも甘いも知り尽くした女性の前に現れた純愛少年。正面から「愛しています」とぶつかってくる。 そんな少年の想いに触れ、彼女は戸惑い、そして、最後は立場が逆転してしまう。 どちらもきっと愛し方が不器用なんだろう。孤独感を拭い去れずに毎日過ごしているんだろう。 本人達も知らぬ間に引き寄せ合う似たもの同士だったのかもしれない。 結果的に交われなくとも。。 どちらの想いも痛々しい。 少年の抱く「愛情」に、尊さを感じてしまった。 「愛情」って、どんなものなんだろうね・・。 解っている様で、解りきれるものではないんだろうね。。 うまく言葉に表す事ができないけど、とにかく、とても余韻の残る作品。 ![]() |
はっきり言って、全く理解不能。私なんぞのバカ頭ではお手上げな作品。 これも「ドグマ95」手法の作品ですが、ドグマがあろうがなかろうが、申告しようがしまいがこれはこんな風に作っただろう(笑) 独特な世界観に見事ハマっていると言うか。 映像、雰囲気は嫌いじゃないしむしろ好きなほうなのですが とにかく何をどう感じたらいいのか・・ ストーリーと言うか、描かれる内容は、タイトルになってる青年「ジュリアン」一家のおかしな面々の暮らしぶり。 ジュリアンは少し精神的に病んだ男性。 父親は妻を亡くしちょっと変人チック? 姉は誰かの子を身ごもっている・・相手は本当にジュリアン? 弟はレスリングの選手で日々トレーニングに励む。 コミカルでもシリアスでもなく、ただ普通に、斬新な映像でもって彼らの日常のひとコマひとコマが繋がって画面に流されている・・ このコリン監督って若手ではかなり注目を集める人らしい。 (この作品のときで20台半ばのはず) 本作もどこやらの映画賞をいくつかとってるようですが。 残念ながら本作は私にとって良い悪い以前に不思議なだけでした・・ ジュリアン役のユエン・ブレムナーは本当にそういう風に見えたし、 大好きなヘルツォーク監督の強烈な出演も見れたのは良かったですけどね。 ![]() |
1986年〜1991年の6年間にわたり、韓国の小さな村で実際に起きた10件の連続殺人事件を基に作られた作品。 その事件を担当する刑事たちの側から描かれていく。 徐々に犯人を割り出す為のキーワードが明らかになっていくものの依然追い詰める所まではいかず。 やっと有力な容疑者を捕らえる事が出来たかと思えば確たる証拠がない・・・ 追い詰められていく刑事達の焦り、疲労困憊ぶり、心情の変化等がどんどん深くシリアスに描かれていく。 前半コミカルなノリを多く含んで描き進んできた事も、その後の緊迫感を一層強調する役割となっていたと思う。 この連続殺人犯は現在も捕まっていないらしいので 作中でも迷宮入りのままで終わっている。 けど「犯人不明のまま」という要素が逆にうまく生かされた面白いストーリーだった。 2003年に時が移ってのエピローグ的部分は、始まってすぐは「その前で終わっても十分よかったんじゃ?」と思ったけど、すぐに撤回。 とても重要な締めとなっていてとてもよかった! 時代が変わり、何もなかったかのごとく過ごしている現在。 それでも彼らは未だ事件に捕われている。そして今また犯人の影が再び目の前を霞める・・・ それにしても、本作がどこまで事実に近いのかわからないものの、自国でDNA鑑定さえ出来なかったこの時代、もし現代の科学捜査レベルがあれば状況は違っていただろう。 そこからなんとなく、旧ソ連体制により連続猟奇殺人犯を捉えるのに苦悩する刑事の映画『チカチーロ』を思い出した。作風や結末は全く別だけど。 ![]() |
「チャドル」とは、イラン女性の方などが体全体を覆うように被っているベールのような布の事。 つまり、チャドル=女性なわけで、この地方では女性=不平等な扱いを受ける存在なわけで。 そんな女性達が生きにくい生活を余儀なくされている姿について、 いくつかのエピソードをループ状につなげた構成で描く。 で、原題は「サークル」。 フィクション映画ではあるけども、そこに描かれる状況と言うのはイランの実社会の現状、事実。 映画の雰囲気自体もドキュメンタリーチック。 男子を産まないと嫁ぎ先から離縁される。 外で煙草を吸う女性は問題視。 女性は一人旅だとチケットも売ってもらえない。 その他もろもろ、男尊女卑というか、女性の人権そのものが薄いというか、そんな世の中。 順々にメインキャラが替わり、違うシチュエーションが描かれていくけど どの女性達も必死にこの世を生き抜こうとしている・・ 厳しい現実の中、逞しく生きようとする彼女達の姿と裏腹に、構成はまた振り出しに戻るかのように(状況は何も変わらないといった様子で)回りまわって刑務所の重い扉で幕を閉じる・・・ 構成そのものからもメッセージが語られるし、淡々としてるけどじっくりと描かれた非常に深い映画だと思う・・ 【受賞メモ】 ◆2000年ヴェネチア国際映画祭 : ・金獅子賞 ![]() |
イスラエル占領下のパレスチナ。 ここを舞台に、ジハード(聖戦)を行う事になった二人の青年の48時間を捉えた問題作。 監督はパレスチナ人だそうな。 そして、イスラエルでも公開されたらしい。 ジハード行為は遠く離れた私たちもニュースなどでよく耳にする。 安全な国でぬくぬくと生活し、何の宗教にも属しておらず、といった人間にとっては、自爆テロを聖なるものとして進んでやろうとする人々の事を自分達と次元の違う世界にいるような感覚で見てしまう部分があるかもしれない。 だけど、この映画に描かれているように、ジハードを決行する人物達はごくごく普通の青年・・・ 前々より自らジハード志願していた親友の二人。 実行当日、事前の完全準備により首尾よく事が進むはずが突発的問題発生、一旦引き返す事に。 それにより、ブレるはずの無かった信念が軋みはじめる。 俺たちの行う事は神に導かれた聖なるものであり、また実行した人物は英雄となると信じていたのに。 命を捨てて行うこの行為が、本当に意味のある事なのか。 一縷の希望に繋がるのか。本当に、他に、選択肢は無いのか・・ 彼らの知人役として、長い外国暮らしの経験を持ち、ジハードを成功させ英雄となった父を持つ女性がいるのだが、そんな彼女自身の人生経験から彼女はジハード反対派。 彼らに葛藤を起こさせる要素の一つとなる。 この存在を設定する事で、映画の中でジハードについての世の中の物議と同じ会話がもっとリアルな感じで、当事者達の視点でもって描かれる。 銃撃戦も悲惨な状況も出てこないし小難しい描き方もしていなけど、 「争い」というものについて、パレスチナ問題というものについて深く触れている話。 とはいえ、パレスチナ側からの一方的な感情を描いているわけではない。 何が原因で、何が良くて悪くて、等について偏った描き方はされていない。 結構受賞されてるが、この話を真っ向から取り上げてるのはほんと凄い!と思う。 けど映画的にみてどうかと言うと、個人的にはすごい面白いとまでは行かない(笑) でも間違いなく、90分一気に見れる。観て全く損はなし。 監督はインタビューでサスペンス・スリラーと位置づけていたけど そういうノリで鑑賞した気はあまりしなかったけどね(笑) 監督のインタビュー映像の中で、 『これを見たイスラエル人が「パレスチナのこの若者達に同情してしまった自分に困惑する」と言っていた』という話がとてもとても印象に残った・・・ クリエイターの方々は、こういう手段で考えるきっかけを人々の心に送る事ができる。 ほんとに素晴らしい商売だなぁ・・ で、結局こういう作品に触れても尚、何の行動も起こさない対岸の火事状態の私たち・・・ 【受賞メモ】 ◆2005年ベルリン国際映画祭 : ・ヨーロピアンフィルム賞 ◆2005年ゴールデン・グローブ賞 : ・外国語映画賞 ◆2005年ヨーロッパ映画賞 : ・脚本賞 ◆2005年インディペンデント・スピリット賞 : ・外国映画賞 ![]() |
幼少から天才音楽家として人生を歩み、今や世界に知れ渡る高名な指揮者となっていた主人公だったが過密なスケジュールや精神的疲労等で体はボロボロ。 彼は職を辞し、それまでの輝ける人生を全て捨て、幼少の頃暮らしていた村へ移り住んだ。 そこで静かに暮らすつもりが、彼はその村にある小さな聖歌隊の指導を強引にさせられる事に・・ 村の聖歌隊は主人公の出現によって確かにその技術を向上させていくんだけど、 単に“優秀な先生が田舎町の普通の人達を育成する”んじゃなく、 “本来弱い人間である主人公の彼そのものが村の人々によって救われていく”ほうが軸といっていいかな。 もちろん村の人々もみな傷やトラウマを抱えていて、 聖歌隊のレベルアップと比例して彼らの結束も強くなっていくことで 少しづつそういった辛い人生も好転して進んでいく。 色々あるけど、結局ほのぼのとした人間性に救われる。 本作、映画制作国スウェーデンでは空前の観客動員数を記録したらしい。 ちなみにウチの近くのミニシアターでも2006年大入り映画の上位にランクインし、今年の初めだったかアンコール上映された作品のひとつだったはず。 それを踏まえて考えると、「感動作」と言っても人それぞれ好みがあるなか、 観る人を選ばない程度の落ち着き度や盛り上がりを持った映画だったんでしょうね。 似たような話ははどこの国でもよく取り上げられるものだと思うけど、くさすぎず、淡々としすぎず、自然体な感じでもありましたしね。 ![]() |
生ける伝説革命家フィデル・カストロに対しベトナム戦争出兵経験を持つ社会派映画監督オリヴァー・ストーンが3日間をかけてインタビューを敢行し完成させたドキュメンタリー。 2003年に製作され、その後数々の映画祭に出品されるも本国アメリカでは上映拒絶されている問題作。 カストロの姿は映画では『チェ・ゲバラ&カストロ』でもちらっと見ましたが、 当たり前ながら本作ではそんな次元ではなく様々なカストロの表情を見ることができる。 キューバ危機の件、ロシアとの関係、核の話、ゲバラとの別れ、 等々、色んなエピソードがカストロ本人の口から語られる。 それが真実なのかどうかなんて事ははっきりいって 単純に彼らの話を鵜呑みにできるものではないし、 本作で史実の「本当」を知ろうというものではないと思う。 キューバ市民達に取り囲まれ高い人気をアピール するような映像についても、 ついどこまで本当のものなのか疑ってしまう自分がいるし、 大体、そういうプラスイメージの情報を混ぜ込む事が インタビュー受諾条件の一つに入っていたんだろうなとも思ってしまう。 それでも、カストロが話す内容、身振り、表情、全てとても興味深く聞き入ってしまう。 ストーン監督の質問に対する切り返し方はやはり「政治家」である事を象徴したものも多い。 そして、ドキュメンタリー映画としても、 飽きが来ないようBGMやインタビュー以外の映像、 特にキューバ革命前後の様々な映像を差し込み構成して、 臨場感もより感じられ、面白みが追加されていて 中々満足させてもらった作品。 ![]() |
「森の彼方の国」という意味を持つトランシルヴァニアを舞台に描かれる、恋人を追いかけやってきたフランス女性と、傷ついた彼女を激しくも優しく見守る男の物語。 間違いなくガトリフ監督作だという色濃さは存分にあり、 当然ながら(?) ロマの民族&音楽がストーリーに密着して描かれている。 そしてとても好きなビロル・ユーネルが主役の相手。 が、これまで私が知ってる同監督作の中では一番インパクトがなかったかなぁ・・・ 信じていた愛を失い、自暴自棄状態に陥り自分を見失った主人公ジンガリナ。 そんな彼女を放っておけず行動を共にするチャンガロ。 お互い激しい気性をぶつけ合いながらも距離が縮まっていく。 そして過去を乗り越え、新たな人生のスタートへと・・ 主役二人の激しくも繊細な感情表現はすごく良かったし、 通常結婚式や出産など人生の節目に呼ぶロマの楽隊を 自分のために呼んで演奏させたあたりなんかは 台詞で説明する以上に演者の体現と民族音楽の力によって 圧倒的な感覚が溢れてくるいいシーンだし好きな表現でもありましたけどねv ![]() |
ザメッティとは監督の出身地のグルジア語で「13」の意味をもつ。 決して裕福ではない家庭に暮らす22歳の青年は、仕事先の家で大儲けの可能性がある情報を盗み聞く。 その家主の死により偶然そのチャンスが自分の手に入り、彼は何が待ち受けているか不明なままパリへと旅立つのだが、その先には想像を絶する恐ろしいゲームが待ち受けていた・・ 見終わってみれば最初のプロットはどうでもいいと思っちゃうぐらい、 ゲーム内容(ロシアンルーレット)が明らかになって以降のインパクトがマジでよかった。 もちろん冒頭での、彼が実直で、家庭は貧しくて、って事や きっかけとなったミステリアスな封筒がらみの話等もそりゃ必要なプロセスなのですが。 「13」のキーワードにいざなわれ、禁断の世界に迷い込んでしまった主人公。 金持ち連中の悪趣味なゲームは、13人同時で行うロシアンルーレット・・。 陰鬱な雰囲気、けだるさ、そして、えもいえぬ緊迫感。 特別な特殊効果を使わずして、進行役の声の高ぶりと、合図の簡素な豆電球と、 そして、ルーレット競技者の表情でもってひしひしと伝わってくる。 またモノクロが素晴らしい視覚効果を持つという事を改めて実感させてくれる 作品の一つとなった。 それにしても、彫刻のような顔立ちと細身の体はモノクロームの世界にはまりすぎるね。 BGMもすごく好みでしたね。 終わり方もまたいい。 雰囲気といい終わり方といい、ある古い時期の映画のようかもね。 本作、例えばショートムービーでも十分楽しめる作品が出来るんじゃない? また、サイレント映画だったとしても十分楽しめると思う。 台詞はいらない。映像だけで語れる、伝わる。そんな気がした。 劇場鑑賞見逃した後評価が色々だったので少し心配でしたが、 私はとても好きですね。これ。 ちなみに、主役は監督の弟、あの家主の嫁役は監督の実姉だそうで。 既に決定しているハリウッドリメイクは監督本人が撮るとのこと。 しかもカラーだって。 モノクロがとても効果的に感じたこの映画、同監督が作るならカラーでも 芸術的になる事を期待します。(芸術をわからんおいらが言うなってxx) ハリウッド版ではレオナルド・ディカプリオ、ヒース・レジャー、トビー・マグアイア、ホアキン・フェニックスなどが主役候補に挙がってるらしいけど、 この中なら、私はホアキンにやってもらいたいかな。 (顔が一番近いから!?w) 【受賞メモ】 ◆2005年ヴェネチア国際映画祭: ・最優秀新人監督賞 ◆2006年サンダンス映画祭: ・審査員大賞 ◆2006年ヨーロッパ映画賞: ・ディスカバリー賞 ![]() |
“銃による平和主義” 銃は精神的支柱であり、行使するものではない それまで「負け犬」だった僕らは、自信を持ちたくましく成長した。 パートナー(自分の銃)を目覚めさせるのは、あくまで廃坑の中でだけ・・・ ラース・フォン・トリアー脚本にして舞台がアメリカ。 銃社会に対し物申す内容なのですが、 純粋な少年達を使い、ひとつの「青春映画」として描かれた ちょっと切り口の変わった中々興味深い作品。 普通の少年たちが単純に「銃」そのものの美しさに囚われ、 精神的支えとしてそれを位置づける。 しかしやはり、持つべきでないものを持った以上、 きれいごとでは終わらない。 結局パートナーを目覚めさせた時も、彼らは研究・訓練の成果発表のような状況に陥っている。 完全に行為の意味を、それが罪であることを、見失っている。 ストーリーそのものは小難しい社会派ドラマとは縁遠く、純粋に銃の魅力に惹かれた少年たちの成長青春ドラマではあるので、そういった要素を楽しむべく鑑賞するのもありだと思いますが。 主役のジェイミー・ベルはよかったですよ。 銃を初めて撃つシーンややきもちを焼くシーンや色々、複雑な心理が表情でもってよく伝わってきました。 ![]() |
こちら、例の「ドグマ95」手法で撮られた作品でしたね。 ドグマって、あのような画像処理は構わないんだー。 この邦題は珍しく(?)なかなか良いんじゃないですか。 逆説的な部分も残しながらこれからの希望、自立を表現するというか、ね。 それぞれが辿った紆余曲折した時間。 それは決して無駄ではないけども、全てをリセットして、別々の道を歩む決心をする。 そこに至るまでの、全ての登場人物の切ない想いがひしひしと伝わってきます。 一つの事件をきっかけに、それまでうまく流れていたものにズレが生じる。 もちろん、きっかけそのものが重大な出来事だけども、 その悲しみ以上に、各状況下に置かれた人間の心の揺れというものが リアルに表現されていると思う。 何かに置き換え、あぁ、あるだろうな、、と思える、決してフィクションではない世界が、フィクションの中にある・・ うーん、うまく言えないけどw 時折マットな質感の映像で、その人の脳裏に浮かぶほんとの気持ちを挟み込んでいるのがまたいい。 最後の音楽、一見映画とイメージが異なるジャンルであるような曲が、とてもマッチしていてそれまでの物語を纏め上げる。いい感じに浸れました。。。 それにしても、デンマークは人をひいても偶発的ならお咎め無しなんですかね・・?? ![]() |
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