撮影:フランク・グリーベ 音楽:アルヴォ・ペルト 出演:ケイト・ブランシェット,ジョヴァンニ・リビシ,レモ・ジローネ,ステファニア・ロッカ,アレッサンドロ・スペルドゥーティ,マッティア・スブラジア,ステファノ・サントスパーゴ,アルベルト・ディ・スタシオ 他 〔ジャンル:ドラマ・ロマンス〕 故クシシュトフ・キエシロフスキ監督の遺稿脚本である、ダンテの『神曲』に想を得て構想した三部作「天国」「地獄」「煉獄」のうちの「天国」編をトム・ティクヴァ監督が映画化。 冒頭のヘリの操縦訓練についての一こまが、ラストに絡んでくるのね・・ 冒頭ヘリの話の後すぐ、ケイト・ブランシェットの役のパートになってからいきなりすごく引き込まれますねぇ。 大げさな描き方で無いですが、固唾を呑んで見入ってしまう。彼女の家に警察が押し入るまで緊迫感が続く。 そして、二人が出会ってからは、美しくて繊細な映像と空気に包まれ、 ジワジワと心の深いつながりが丁寧に描かれている。 街中の画もとても綺麗にとってあったけど、 広大な土地の曲がりくねった一本道を二人歩く姿。 大きな一本の木の下にたたずむ二人の影。 そして、とてもピュアなフィリッポの想いとそれに共鳴するかのように彼に惹かれていくフィリッパ。 父親が会いに来たシーンのあのオヤジには泣かされますねぇ(笑) すんごいいい味出してます。レモ・ジローネ。 それにしても、ブランシェットの丸刈りにはさすがに驚いた。 二人が決断した『天国』への道。ラストショットは音もなく静かにただそれが点になりそして消えるまでの大空が映し出される。 ・・見入ってしまいますね。 二人にとっては確かに昇天、、だったのだろうけどそれはとても切ないもの。 それに対し、「地獄」編はそれまで地獄を引きずり生きてきた生活だったものの、真実を知った先には可能性のある未来が広がっているかもしれない。 単純に「天国」と「地獄」という言葉から連想するイメージとは逆の幕切れとなっているのが興味深い。 「煉獄」は誰か映画化しないのかなぁ。どんな話なのかなぁ・・ というか、キエシロフスキ監督作の3部作も見たかったなぁ・・ ![]() |
ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。 反体制派を厳しく取り締まっていた時代。その取締りを担っていたのが『シュタージ』という国家組織。 主人公はシュタージに属し、党の信念を信じ非常に真面目に任務を遂行するとても優秀な男。 ある日、反体制側の疑いがある芸術家、舞台作家のドライマンを監視する事に。 彼の留守中、住居のいたる所に盗聴器を設置、昼夜を問わずドライマンとその恋人の生活をチェックするのだが・・ タイトルは、こういう風に関ってくるのね・・ 『善き人のためのソナタ』を心から本気で聴いた人は悪い人になれない・・ 旧東ドイツの秘密警察を扱った作品と言う事とチラシの写真から、国の情勢の問題が複雑に描かれてる硬い感じ?なんて勝手にイメージしてましたが、予想外にヒューマンドラマ要素の強い話でした。 もちろん、国家による個人のプライバシー侵害や圧力の問題なんかもしっかり出てるんですが。 ハネケ作品で何度か観た事のある、ウルリッヒ・ミューエが主演。 常に冷静沈着に行動する生真面目な男の雰囲気がすごく出ててよかったですねぇ。 その人物設定がしっかりできていないと、盗聴対象の人物たちに影響を受けてからの感動がきっと薄くなってしまうことでしょう。 こんな忠実で真面目な人間が、徐々に感化され・・というところがミソでしょうし。 彼がチラシ配り(?)をしている姿はとても切ない・・ 最後のショットにはさすがにポロポロ来てしまった・・ 「感動」というのは結構アバウト且つ色んな感情がまざった感じがして、細々とした事にはすぐ使うものの映画全体の感想としてはあまり使いたくない言葉なんだけど、この映画には素直に「感動」が似合うんだろうなぁ。と思った。 結構万人に気に入られてるというのが理解できる内容でした。 【受賞メモ】 ◆2006年アカデミー賞 : ・外国語映画賞 ◆2006年LA批評家協会賞 : ・外国映画賞 ◆2006年ヨーロッパ映画賞 : ・作品賞 ・男優賞(ウルリッヒ・ミューエ) ・脚本賞 ◆2006年インディペンデント・スピリット賞 :・外国映画賞 ![]() |
二人ともが不妊症の夫婦、子供が欲しくてほしくて、時折赤ちゃんの幻覚を見る事も。 ある日、別荘の庭の切り株を掘り起こした夫はそれを赤ちゃんの形に彫って妻にプレゼントする。 ちょっとした遊び心のつもりだったが、妻はその木を本当の子供のように可愛がり、しまいにはその切り株人形に本当の命が宿ってしまう。 そして事態は恐ろしい方向へ・・ “民話を基にした話”というけど、チェコにはほんとにこんな民話があるのですか!?笑 それ自体がすごい。 “オテサーネク”がその民話のタイトル。 ちょっと、覗いてはいけない世界を垣間見てしまったというか・・(笑) これは、怖くないホラーじゃないの?w 恐怖におののくとか、サスペンスフルとかミステリアスとか、そんなんじゃなく、脳みそに異変を抱きそうな世界というか(笑) 独特の世界だねぇ。噂どおりだ(笑) 子供を切望するあまり完全に病んでしまっている妻。 偽装妊娠を計画し、木を相手に服を着せ、乳をやり、お風呂に入れる。 夫は夫で妻の行動に困惑しつつも仕方なく協力する。 そんな夫も最後は大きく成長した“我が子”を見て一言・・ 夫婦のおかしな言動を密かに監視する隣の家の冷静な少女。 切り株をビビリもせず、しかも切り株のためなら両親をも犠牲にする・・ 映像は、民話をなぞるシーンなどで時折アニメーションが入り、 実写のシーンもアップの場面とかいろんな箇所でへんに多く、 切り株人形の動作などにはストップモーション(って呼び名でよかったっけ)が使われていて、 独特な雰囲気が漂ってきます。 とにかく、かなり毒々しいブラック要素満載。 なんか、キッツいのに見入ってしまう。 そして、他の作品も観てみたくなるそんな自分がちと怖い(笑) ![]() |
〔ジャンル:ロマンス・ミステリー〕 邦題、的はズレてないんだろうけど、あきらかに映画のイメージを壊してるよね!? こういう題だとサムいイメージを持ちがちな自分が悪いのか? それに、人それぞれ様々な受け取り方が出来そうなこの作品に対して、見方を限定させそうな題名でもないですか!? ちなみに、原題の「RECONSTRUCTION」とは、再建、改造といった意味のようですが。 まぁ、そんな話はおいといて・・ とにかく、すごく洒落た映画だ。 映像も、男女の恋愛の描き方も。 新鮮な映像、切り口ながら、古めの名作フランス映画等の恋愛物を感じさせるような雰囲気や男女のかもし出すつやっぽさもあったりしていい大人の香りがしますよ〜(笑) 最初に “再会の始まり” が少し描かれてから、すぐに “最初の(多分)始まり” に遡って話は進んでいく。 途中と、ラストに “再会の始まり” の続きが挿入されてたり、 (途中のベッドシーンでの切り替えは惑うねぇ、うまいねえ) 最初の始まり後も何度か「初めて」のようなシーンがあるし、主人公アレックスの周囲ではおかしな現象が起こるしで、時間軸の操作が複雑にされているのかとも一瞬頭によぎったけど、時間軸は関係なく・・ 結局あの不思議な現象は、 本当の愛に堕ちてしまった時の事を、世の中を使って比喩するとこういう事なのだと感じてしまいましたよ。 彼女以外のものは全て無しになってしまう。というか・・うまく言えないけど。 その他も色々と、人を愛する感覚というものを感じさせてくれる作品ですねぇ。。 台詞の言い回しとかも、すごく手の込んだ策略(笑)が張り巡らされてるっぽいね!? でもまた、その時々でうまくアクセントに使われてるライターや指輪を見て、このシーンではこれがこうなってるから・・などと細かい部分に食いついてしまったりもする(笑) また、ラストは一応「終り」なわけだけど、二人の出会いのループはさらに繰り返されるんじゃないかとさえ思ってしまう。 ここからまた最初の「始まり」にいき、やり直しが始まる。 多分、彼が何かに気付かない限り、詰めのところを締められない限り、このループは永遠に続くんじゃないだろうか。何てねぇ・・ これ、かなり哲学的なものを踏んでるよねぇ・・?深いよねぇ。 人によって様々な解釈があるだろうし、それで良しとする話だと思う。 私の中でも観る時によって思うところが変わるかもしれない。 それにしても、ヒロインの二役は言われなきゃ判らないね! 確かに「似てる」ぐらいは思うだろうけど。 主人公を愛する二人を同じ人が演じることで主人公が最愛の人とハッピーエンドに進まない『理由』がそこにも含まれているような気もする。 このヒロイン役の人、何かで見覚えがある気がするけど、わかんない(笑) もうね、製作者側の意図がなんであろうといいんですよw 一人遊びの出来る映画です(笑) まぁとにかく、とてもいいですよ。 全般において、すごく好きですね〜。 【受賞メモ】 ◆2003年カンヌ国際映画祭 : ・カメラ・ドール ![]() |
アルモドバル監督の「セクシリア」が俳優デビュー作、その後も何度か同監督作に出演しているアントニオ・バンデラスが主役。 精神病院から退院したばかりのリッキーは、ずっと思い続けていたポルノ女優のマリーナの元へ直行。 彼女と結婚し、子供を作って幸せな家庭を作ろうと決めていた。 しかし彼女は見ず知らずのリッキーの突然の訪問を軽くあしらってしまう。 するとリッキーは彼女の家に行き、彼女を幽閉するのだった・・ これ良いですよ(笑) ストックホルム症候群に近い現象かもしれないですが アルモドバル節で描くとこうなる、純粋ラブ・ストーリーw 幼い頃から孤児院や病院で育ったリッキーの、歪んだ愛情表現。 いかつい顔の男が恋する女性を縛りつけるという一見怖そうな行為にも出るけど、 実はリッキーはとってもピュアで可愛い部分がある男だったり。 まぁ、普通なら、結局結ばれるのだろうというパターンではありますが、 そこはアルモドバル、意外な形に進む可能性は往々にしてあるし・・ ・・ところが、結構ありがちなパターンでほんとに進んじゃうんだなぁ(笑) だけどそれも二人の愛情についてだけで、 その表現方法や描き方、コミカルなドタバタさなんかが加わってて決してベタな形ではないんですねぇ。 マリーナの微妙な女心もいい感じだったしねぇ。 自分で戻って『アタメ(縛って)』という心境もまたいいですねぇ。 しかも、意外やえらくすがすがしくさわやかな形で終わるラスト。 私が観た同監督作の中では他にないんじゃないかしら?w キューンとしちゃいましたよ、おいら(笑) マリーナを見つめるバンデラスの表情も、感極まるマリーナも、その横で明るくさばさばとしているお姉さんも、いい感じ。 ん?アルモドバルテイストに麻痺してるのか・・!? ![]() |
〔ジャンル:ドラマ〕 ある貧乏な家庭の主婦が主役。 窮屈なマンションに夫、姑、息子二人の計5人暮らし。 彼女の日々たまる鬱憤は、国を超えて共感できる人は山盛りだろう。 それをアルモドバル独特の切り口で描いていく。 コアな出来事や人物も、彼にかかれば常識の範囲内だといわんばかりに淡々と混ぜ込んで。 その描き方はやっぱり好きだけど、面白みとかパワフルさでいったら 私は他の同年代作のほうが全然好きだったなぁ。 カルメン・マウラの堂々たる存在感は良かったし、彼女と同様アルモドバル作品常連の一人、アンヘル・デ・アンドレス・ロペス演じる姑も相変わらず変でおもろいけどねw ![]() |
出演:トミー・リー・ジョーンズ,バリー・ペッパー,ドワイト・ヨーカム,ジャニュアリー・ジョーンズ,メリッサ・レオ,フリオ・セサール・セディージョ,バネッサ・バウチェ,レヴォン・ヘルム 他 〔ジャンル:ドラマ〕 ギジェルモ・アリアガ脚本、トミー・リー・ジョーンズ初監督作品と言う事で必見予定だったものの実はそれほど期待をしておらず、、 ところが蓋を開けてみれば、良い映画だったんですねぇ〜。 製作総指揮にはリュック・ベッソンもいたんだ!へ〜。 「アモーレス・ペロス」、「21グラム」等では特徴的な時間軸や場面の複雑交差。 本作ではそれほど突出してなくて、あえてそこに拘るとすれば長旅に出る前の前半を中心に ・メルキアデスの友人で主人公のピート(ジョーンズ) ・メルキアデスの生前、ピートとの交流 ・国境警備隊のマイク(ペッパー) あたりが交ぜながら描かれ、メルキアデスが死んだ原因を次第に明らかにし、ピートとメルキアデスの友情の深さをじわじわと感じさせるのに役立たせていると思う。 とはいえ全体としては決してトリッキーな要素を楽しむものではなく、淡々と、じわじわと、男の友情と孤独、そして罪と償いがストレートに感じられる骨太作ですよ。 メルキアデスの3度目の埋葬パートに入ってからはそれまでじんわりきていたものが一気にグッと心にきちゃったなぁ。 まさかこの映画の雰囲気でウルッとなるとは思ってもいなかったし^_^; 長くキツイ旅は、メルキアデスとの友情の証とそして、マイクにとっても償いの上の救いとなるものだった。 マイク役に元々目つきの悪いバリー・ペッパーなのはハマってたと思うw あ、貶してないよ、私ペッパー好きだしねw 事件前・事件後、長旅後のマイクの「違い」がいい感じで出てましたね。 トミー・リー・ジョーンズは言わずもがなで渋いけど、大切な友を失った空虚感、ある意味とりつかれたように見える程の様子で約束達成を目指すその深い想い。よかったですよ。 【受賞メモ】 ◆2005年カンヌ国際映画祭 : ・男優賞(トミー・リー・ジョーンズ) ・脚本賞(ギジェルモ・アリアガ) ![]() |
舞台は1980年代の近未来(映画製作当時から20年後の設定)。 コンピューターによって統制された未来都市【アルファヴィル】。 人は暗号化され。感情も抑制され、そして感情を表すような不適切な言葉もどんどん消去されていく、そんな世界。 そこに、ある任務を果たす為 腕利き探偵が送り込まれる・・ いやぁ、これまたこんな未来世界も一つの描き方だよねと改めて感嘆^_^; 近未来かどうかもどうでもよくこの世界観が単純にすごいなぁと思う部分もある。 別段特別なセットを組むわけでもなく、映像と雰囲気と人間の置かれた状況でもって現実離れした空間が描かれる。 そこは確かに、科学の進歩によって歪んでしまった未来世界。 人間自らが作り上げた、人が人でない世界。 夜景とBGMがまたいい。 そして寒々しい未来社会の中で一人バイオレンスタッチの存在w、推理小説から迷い込んだかのような主人公の探偵レミー。 コンピューター“アルファ60”とレミーとのやりとり。 感情を知らなかったナターシャの口からこぼれる「愛」の台詞とその表情。 あの表情は結構残りますねー・・ やはりポエジーな部分はですねぇ、未熟な私には解読不能な箇所がたくさんありますよ。比喩も一度ビデオを止めてじっくり考えなきゃならないぐらいでしょうよw それでも、ストーリーと世界観は存分に浸らせて頂きましたm(__)m それにしても、作風は全く別物ながらなぜかジョージ・ルーカスの『THX-1138』を思いだしてしまった。(製作順序はTHXが後だけど) 現存のセットを使い描く、コンピューター制御された未来の行く末、追跡料金カウントメッセージの声などが頭でリンクしちゃったのだろうか。 【受賞メモ】 ◆1965年ベルリン国際映画祭 : ・金熊賞 ![]() |
やっぱこれ、いいよ。大好きだ・・・ お話しは、無くなった父が生前よく聴いていたロマ(ジプシー)の歌い手を探す旅に出た若者が、途中で出会ったロマの人々の暮らしや人柄に触れ、そして辛い現実も目の当たりにしながら成長していくというもの。 『ガッジョ・ディーロ』とは、ロマ語で『よそ者』という意味。 突然現れたよそ者ステファンに、彼をつれてきたイジドールじいさん以外の村人は最初得体が知れぬと不安がるも、徐々にステファンと交流を深め、ステファンも彼らの生活に馴染んでいく。 当初の目的は中々果たせないものの、ロマの素晴らしさに触れたステファンは父と同じ様に彼らの音楽をテープに録り貯めるようになる。 でも結局、うわべだけしか理解できていなかった自分の浅はかさに気付き、そして父の影を追って生きていた自分のこれまでとの決別をするかのようにあの行為をするんですよねー、彼。イジドールダンスを真似するところがまた良いですな〜。さらに、悲しみに暮れていていいはずのローナの笑顔がロマ助成のタフな美しさを強調する。 主軸のステファンで話すとこんな感じだけど、まぁとにもかくにもやっぱ本作はイシドールおじーちゃんはじめロマの村人たちと、そして民俗音楽無くして語れないわけで! 素朴な人間性&暮らしぶりの人々。音楽がいつもそばにある人々。 ロマの温かみと逞しさがごく自然に伝わってきます。 本作、出演のほとんどが素人の方々。 強烈な個性のイジドールおじいも。おじい、マジで最高です!! そしてそして、ただBGMや演奏シーンとしてたくさん流れるだけではない音楽の使い方ですよ! ガトリフ監督ってほんと、感情の起伏と音楽のあわせ技が強烈にうまいっすね!! ローナ・ハートナー演じる強く明るく逞しく生きるロマ人女性もすごく良いし、 ステファン役のデュリス君のぼさぼさ頭とあのくったくのない笑い声がまた良いし。 しょっちゅうにやけ笑いにさせられ、そうかと思えばメチャ切なくさせられる。 とにかく、大した事が起きない間も常に登場人物の誰かと共に一喜一憂させられる。 素直に、ごく自然に、感情移入させられる。 ほんとお気に入り ![]() 【受賞メモ】 ◆1997年ロカルノ国際映画祭 : ・銀豹賞 ・主演女優賞(ローナ・ハートナー) ・全キリスト教会賞 ・YOUTH賞 ・FICC/IFFS賞 ◆1997年モントリオール国際映画祭 : ・特別賞 ◆1998年セザール賞 : ・音楽賞 ◆1998年ロッテルダム国際映画祭 : ・観客賞 ![]() |
出演:ロドリゴ・サントロ,ラヴィ・ラモス・ラセルダ,ジョゼ・デュモント,リタ・アッセマニー,ルイス・カルロス・ヴァスコンセロス,フラヴィア・マルコ・アントニオ 他 〔ジャンル:ドラマ〕 舞台は1910年、荒れた地が広がるブラジルのある片田舎。 土地を巡って2つの家族が交互に命を奪い合うという先祖代々続く闘争が今も繰り返されている。 その家族に生まれたものは、いつか身内が殺される目にあい、その敵討ちをし、そして、今度は敵討ちの対象にされる・・ ちょっと一般ピープルには理解しがたい状況ながら 「土地所有者同士の衝突はブラジル東北部の荒れ果てた辺境地帯では因習となっていた」と、サレス監督。 話は、対立する家族の貧乏な一家の方の兄弟、自分が兄の敵討ちをする時が訪れ、実行し、そして、逆に相手の復讐対象となるトーニョ(サントロ)と彼の幼い弟“坊や(パクー)”(ラセルダ)を中心に描かれるもの。 一縷の望みもあるとは言え死ぬのをわかって過ごさなければならない日常。 その葛藤を静かにナイーブにロドリゴ・サントロが演じる訳です。あの丹精な顔立ちで(笑) 哀しい宿命の元で生まれ、限られたごく狭い世界しか知らない兄弟の前に突如美しい女性が現れる事で、 結果的に兄弟の運命に影響を及ぼす事になるんですね〜・・ 弟ちゃん、いじらしすぎるねぇ。。。そこに至までに読書で空想に浸る楽しそうな姿を散々見せといてさぁ。堪えるねぇ。。 父親にシバかれながら同じ場所をぐるぐると回っているトウモロコシの粉砕機の牛が自分や一家とオーバーラップし、 片や、一本の長いロープにぶら下がりアクロバットを披露する彼女も確かに一箇所をぐるぐると回っているけど、しかしその姿は明らかに自分達家族の宿命のそれとは違い、「自由」そのものだった。 そして、彼女は自分の人生から自分の意志で飛び出した・・ 中々印象的でしたね。 ラストも、彼が向かう場所も表情もなかなか印象的です。 【受賞メモ】 ◆2002年ヴェネチア国際映画祭: ・若手審査員賞 ![]() |
『不思議の国のアリス』をベースに、主人公ジェライザ・ローズの空想世界を描いた原作『タイドランド』をテリー・ギリアム監督が映画化。 クスリ漬けの両親の元で育つ10歳の少女ジェライザ・ローズ。ある日母親がクスリの過剰摂取で死亡。少女と父親は自宅を飛び出し父親の実家のある片田舎へと向かう・・ アリスinワンダーランド 改め ローズin乾いた土地へようこそ・・ ほんと、噂に違わずかなり毒々しい内容でしたねぇ。 ダークなグリム兄弟の世界と謳われてた(多分)前作『ブラザーズ・グリム』はすっかり肩透かしだったので余計オッケーに感じてしまうのか?(笑) 今作はファンタジーと言っても舞台までがおとぎの国や時代物って訳じゃなかったので個人的にもより見やすかった。 空想癖のある少女。ろくでなし両親や孤独な世界から目を逸らす為の自己防衛が働いた結果もあるんだろうけど本人は至って普通の事のように大好きな『不思議の国のアリス』と現実を重ね、空想し、友人の指人形と会話する。 並ぶ指人形の肩越しに写すショットがやけに印象的^_^; 子供に見せる&やらせるにはえぐいんでないの〜!?と思いたくなるシチュエーション多数。 この子役の子はいろんな意味で極めてますね(笑) グロテスクな空想世界がどこか可愛らしさの残るまま描かれてるのがすごいですが(笑) ズバッと風刺切りって感じでもないし、鑑賞後までどうこう思ったりしなかったけど、 それなりにギリアムワールド堪能できる作品ではありますよねぇ? ![]() |
夢遊病を患う美しい女性と、そんな彼女を救おうと危険な道へのめり込んでいく男。 主演のリュディヴィーヌ・サニエとニコラ・デュヴォシェルって、この作品の前からか後からか知らないけどプライベートでも恋人同士で既に子供も出来てるとか。 幼馴染の恋人がいる男性ジュリアンが、ある日ボロボロな姿になって夜の街を徘徊する女性と出会う。その最初の一瞬で男性を釘付けにしないと後がスムーズにいかないそのシーン、サニエちゃんの表情はやっぱすごい。 まぁでも、美人だから興味を持ってもらえるってのも大前提にあるんだろうけどね(笑) 昼と夜の2つの顔、よく出てましたよねぇ。 それも症状(精神疲労)が酷くなっていく事で同じ様な状態に陥ってくわけですが・・ 夢遊病って(本編では「無遊症」って訳されてた)、ほんとややこしくて大変らしいですね。 満たされない感情を埋めるかのように人にすがり、それでも彼女の精神面は回復せず、結局彼女は自分自身で起こした行動によりやっと、泥沼の精神状態から抜け出す・・ 一番の災難はジュリアンでしょうかね(笑) 彼女の苦しい時に手を差し伸べ、罪を見逃し、そして立ち直る際には過去の人・・^_^; ![]() |
『カルチェラタン』の脚本を主演のジーナ・ローランズが担当した以外は全ての作品が監督自身の脚本又は共同執筆によるもの。 フランスTVプロデューサー、トリスタン・カルネがこの企画を思いつき、それをエマニュエル・ベンビイがさらに煮詰めて大物プロデューサー、クローディー・オサールのもとにトム・ティクヴァが自身の製作会社で撮った作品(本作の「フォブール・サン・ドニ」)を携えて話を持ち込んだ。 その作品(2002年8月に撮影)をもとに、世界中の監督にプレゼンテーションを行い、最初に参加したのがコーエン兄弟。彼らの作品は2005年1月に撮影される。そして、このティクヴァとコーエン兄弟の作品は「パイロット版」として作品の質を証明することになり、資金面を含めて、雪だるま式の効果をもたらした。(公式サイトより抜粋) そうそうたるスタッフ陣。 それぞれ単独のお話しながら、全てを見終わった後には不思議な全体の流れと言うものを感じられる。 技術的な事は無知だけど、それが編集のなせる業というものでしょうか?? 個々の作品だけでなく「パリ」を十分に堪能できる作品なんだろうなぁ。 舞台は全て別の区だしねぇ。 たった5分間のドラマでも、「見せる」事が出来るんですね〜。 どこかの誰かのある日の出来事。 ステキな偶然・出会いもあれば、それまでの時間経過も見て取れるような別れ、成長、ある苦悩。 フリからオチまできっちり纏めてるものもある。 エンドロールの終りまでシミジミ浸ってしまうほど、ほんわかステキな気分にさせられる作品。 あえて特によかったものを挙げるとしたなら、 2:ピュアな雰囲気がよく出てた〜 4:短編初のコーエン兄弟、完全に纏まってたw 7:哀しすぎるねぇ。。 8:母の辛さよ・・ 9:最初キショかったのに意外やオシャレでステキ 14:美しきヴァンパイア♪ ・・・ ・・・って、それぞれ味があって、キリが無いな^_^; ↓以下、全18編オムニバス内容 ![]() |
ある日一家の主人が部屋の中で殺された。当日家にいた8人の女性達の中に犯人が!? 殺された主人の妻、娘二人、妹、母、メイド二人、そして、主人の妹。 お互い疑心暗鬼になり、個々のアリバイを確認しあっていくが・・ 舞台劇風のつくり、密室劇的コミカルサスペンス。 (全然サスペンスフルではないがw) 登場する8人の女優全てがベルリン映画祭で銀熊賞受賞の本作。 演技うんぬんの前に、まずは演者の皆さんと役柄そのものが見事にマッチしてましたねぇ。 犯人捜しのはずが、話はそれぞれの秘密の暴露大会、うらみつらみ、など等、様相は見事に泥沼化していくのですなぁ。。 時折挟むミュージカル風の歌とダンス。「焼け石に水」よりコミカルw 過去歌って踊る作品もあるドヌーヴ様も、さすがにのっけのコミカルな真顔ダンスを見た時は「お〜、やってるやってる(笑)」とへんな喜び。 全く脱がない(エロスを強調しない)サニエちゃんを見たのは初めてかも。 ファニー・アルダンって、ドヌーヴとそんなに年違わなくないんじゃ!? でもまだまだごっつキレイだった! とにかく色々皆さん個性豊かに見せてくれるけど、 個人的にはイザベル・ユベールが一番かな(笑) わざとな古典的演技で男日照のもてない中年女性を演じる。 途中ピアノまで弾き出して、これじゃ「ピアニスト」の一見堅い女を装った主人公そのものじゃん(笑) 殺人事件をきっかけに巻き起こる騒動。しかし、ミステリアスさやスリリングさ、また歌唱力などを問う作品ではなく、豪華布陣で綴る女の醜態をコミカルにまったり楽しむのがいいですね。 小奇麗にバランスよく纏まった作品だし、いろんな意味で楽しめます、これ。いい感じです。 【受賞メモ】 ◆2002年ベルリン国際映画祭 : ・銀熊賞 ◆2002年ヨーロッパ映画賞 : ・女優賞 ・・どちらも8人とも受賞(ダニエル・ダリュー, カトリーヌ・ドヌーヴ,イザベル・ユペール,エマニュエル・ベアール,ファニー・アルダン,ヴィルジニー・ルドワイヤン,リュディヴィーヌ・サニエ,フィルミーヌ・リシャール) ![]() |
これはまたすごい作品だと思います〜・・・ いや〜、ジワジワ、来ますね〜、いや〜・・すごい。 全く無関係の男たちが悲しい偶然の元一つに繋がる・・ ある若者が殺人のターゲットとして無作為にタクシー運転手を選ぶ。 そして、事件の直前に若者とニアミスしていた弁護士の卵がその後逮捕された若者の弁護を担当する・・ 最初それぞれの人物はバラバラに事件当日の姿が描かれるわけだけど、何が起こるかわからないのに独特の映像とサスペンスフルな音楽でもってずっと緊張感が感じられる。 そして、若者が行動を起こして以降最後までずっと物語の佳境が続きっぱなしのようなものだった。 寒々しい、いや、ちょっと怖いぐらいの冷たい映像から、フツフツとすごいものが音も立てずにやってくる・・そんな感覚。 常に何かに苛立ちを感じているようなある若者。 殺されるタクシー運転手は生前いけ好かない奴だった。 その日、弁護士の卵はまさに弁護士資格を得たばかりで意気揚々としていた。 3人に設定された人物像によって、事件後の彼らの立場を見る際に一層様々な感情がわきあがる。 内容についても、色々と考えさせられる・・ これ、あの「デカローグ」シリーズの5話に一部脚色して映画化したものらしいですねぇ。全然前知識も無かったし、そもそもデカローグも見たいと思いつつたくさんあって後回しになってたままだし。 一段と見たくなるな。こりゃ。 【受賞メモ】 ◆1988年カンヌ国際映画祭 : ・審査員賞 ・国際映画批評家連盟賞 ◆1988年ヨーロッパ映画賞 : ・作品賞 ![]() |
出演:アンドレス・パソス,ミレージャ・パスクアル,ホルヘ・ボラーニ,ダニエル・エンドレール,アナ・カッツ 他 〔ジャンル:ドラマ/コメディ〕 “ウィスキー”って、そういう事だったのね。。 毎日規則的な日常を送る靴下工場の社長ハコボと従業員のマルタ。 ある日、ブラジルに住むハコボの弟が二人の母親の墓石建立式の為訪ねてくるのをきっかけに、ハコボはマルタに弟のいる間だけ夫婦の役を演じて欲しいと申し出る・・ なんか切なくなるのが悔しいわぁ、これ(笑) ハコボの不器用さが痛いわぁ。 お金を包む所なんて、そんなにしなくても〜!って止めに行きたかったよ(笑) その結果も予想外で辛いしさぁ。。 まぁとにかく、お話はもちろん、こういう描き方のテイストそのものがすごく好きだ。 表情のある無表情(笑)、独特の間(マ)、構図の納め方、等など・・ 決して説明過多にはならず、でも何かしらの感情が心にしみじみと沁みてくる。 色々印象的なシーンはあるけど、意外と一番好きなのは 3人が旅先で夜中街を歩いているところかな。 歩く画を3回切り替えて見せるあのシーン、音楽もその前からうまく乗せてきてすごくいい空気が出てたなぁ。オフビートなコミカルさがねぇ。 本作の予告編の中で「まるで南米版アキ・カウリスマキ」というフレーズが出ていた。 う〜ん、それはどうなんだろか。 玄人が見たらそうなのかもしれないけど、一応カウリスマキ大好き素人の私ですが、そこは微妙。どっちが良い悪いってんじゃなくね。 似てる所も多いんだろうけど、根本が違うような。じゃぁ根本て何だよ(笑) まぁでも、確かにハマり方は近いかもねw ![]() |
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