1826年、長い間幽閉されていた地下牢から突如ニュルンベルクに出現し、5年半後に何者かによって殺害されてしまった謎の野生児、「カスパー・ハウザー」についての実話を元に描かれた作品。 彼が何故、誰に幽閉され、そして開放されたのかは謎のままで、作中でもそこは明確にはされません。 言葉も知らない。人間さえもまともに会ったことが無い。そんなカスパー・ハウザーがいきなり社会に放り出される。 その時初めて歴史に名を落とした彼は、「大人の体格」にして「生まれたばかりの子供」だった。汚れも何も無い、純真無垢な人間だった。 だが、周囲の人間はそうは見ない。あらゆる憶測が飛び交う。好奇の目が彼を襲う。 彼を通して現代社会の残酷性を淡々と描いていきます。 それでも、一部の暖かい人間たちの力も借り、カスパーは驚異的な速さで「普通の人間」に近くなっていく。けど、どんなに言葉を憶えようと、ピアノが弾けるようになろうとも、彼にとっての「安らぎ」は見つからなかった。社会を把握すればするほど、その不条理さに子供のように疑問をもつ。 カスパーの、そのぎこちない身振り、言葉の言い回しがとにかく痛切に心にきます。 ![]() ******* カスパーを演じるブルーノ・Sは娼婦の子に生まれ、幼少から精神病施設に収容されていた人物で、施設から何度も逃走を試みていたといいます。彼が施設から開放されたのは26歳。ある意味カスパーと同様とも言える境遇だった訳です。 そんなブルーノ・Sがベルリンでアコーディオンを弾きながら歌う芸人をしていたところ、彼の生い立ちをドキュメンタリーで知った監督が本作の主役として抜擢。 彼だからカスパーの気持ちが汲み取れ、どんな名優が演じるよりもリアリティさが出るのかもしれない。ぎこちなさも逆にうまくマッチしていたのかもしれない。この配役はほんとすごいです。そしてその彼を生かした監督も!・・ヘルツォーク作品は他でも「抜擢」という感じの主役が多いようですね。 監督作品常連のクラウス・キンスキーもどちらかといえば脇の役者だったんですよね? そして小人(は、当然か^^;)や本作ブルーノ・S、最近の作品ではストロングマン・コンテスト優勝者が主役をしているし。。 ******* また、なんと言っても外せないし最も重要じゃないかと思うのがこの世界を描くその映像。社会の冷たさ、カスパーには息のしにくい世の中というものが寒々しく、痛々しい独特の雰囲気で醸し出されます。カスパーが社会に対して漏らす言葉。 社会がカスパーに対してかける言葉。 それぞれ、印象に残る台詞が多いです。 最後は、カスパーの脳に対してまで言い放つあの無神経で身勝手な、とにかく「異端は異端」としたい浅はかな考えで締めくくり、カスパーの幽閉時の映像をフラッシュバックさせる。きつく、心に突き刺さります。 とても、大事で大好きな映画の1つです。。 (旧ブログからの引越し分) ![]() |
1970年、この頃の黒人映画と言えばまだまだコメディドラマが主流、当のメルヴィン監督も’70年に製作してヒットさせたのはコメディドラマ。しかし彼は、白人社会に物申すような、黒人が黒人である作品を撮りたかった。しかし、当時の業界でそのような作品を作るのは不可能ともいえることだった。だが彼はとうとうそれをやってのけた。。。 後のブラック・ムービー全盛はこの映画なくしてはありえないと言われる、 アメリカン・アメリカン達の為の記念すべき、そして愛すべきインディペンデントムービー♪ '71年作だけど、日本公開は'90年代に入ってから。本作のジャケの顔が監督のメルヴィンその人であり、本作の主役。金銭難と、極端に台詞の少ない(台詞は全部で6つ)役は役者から敬遠されるという結果から仕方なく。 内容は、少年だったスウィートバックは娼婦たちに引き取られ、娼館で育つ。少年はそこで無理やり襲われ童貞を失う。その後成人するにつれて自らのセックスの才能に目覚めていき、大人になった彼はセックスショウ(?)の男優として働いていた。が、ある日彼は無実の罪で白人刑事たちに連行される事に・・。そしてあるきっかけから逃亡を謀り、必死で警察から逃げるのだ。 まず、映画冒頭のシーンから白人社会に向けた挑戦状的な文字が刻まれる。そして主役の「スィートバック」は(虐げられてきた黒人は)、警察に(白人社会に)どんなに執拗に追われようとも、絶対に捕まったりはしなかった。いいかお前ら、待っていろッ!スィートバックは必ず帰ってくる!復讐しに舞い戻ってくるからな!!! ・・・といった具合でストーリー自体も挑戦状になっているのだ(笑) ・・ストーリーはいたってシンプルだけど、当時の映画業界には無かった黒人からの強いメッセージが作中に溢れていた訳です。 当時これを観た黒人さん達は、そりゃもう私たちには想像も付かないほどすごい興奮だった事でしょう。作品自体の出来うんぬんよりも、やっぱりここがポイントの映画ですよね。 ちなみに主役のスウィートバックは物語中、あっちのテクニックでもって、身を助ける事になったりと、作中そういうPlayシーンが多々あるんですが、監督は総て本番でやったが為に相手の女性「淋病」までもらったそうです(爆) えっと、正常な話に戻してw、 また、本作の音楽はメルヴィン自身が作ったものを、当時まだ鳴かず飛ばずだったEarth wind&Fireがアレンジ。 アースの大ブレイクはこの映画音楽がきっかけだったんだそうです。 ***** で、かくして時代は流れ、この映画ではスウィートバックの少年時代を演じ、童貞を失くすベッドシーン!を演じさせられたメルヴィンの息子マリオも大人になり、役者をやりつつ1991年「ニュー・ジャック・シティ」で監督デビュー、役者に監督業にと活躍されてるわけですが、そんなマリオが、この作品から30年以上経って作ったのが『バッドアス!』。映画「スウィート・スウィートバック」製作の舞台裏を映画化しました。
そして製作総指揮にはマイケル・マンの名前が。それだけでもスウィートバック製作時とは違ってブラックムービーを創る環境がいかに恵まれてるかわかるというもの!?(笑)
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テーマ:ブラックムービー(黒人映画) - ジャンル:映画 ![]() |
ヴィスコンティのこの上ない
映像美 に酔いしれた。。もちろん、アラン・ドロンにもまたまた酔いしれた。。 笑
〔ジャンル:ドラマ〕 昨年やってた企画物、『ヴィスコンティ生誕100年祭』リバイバル上映にてありがたくもスクリーン鑑賞できました! もちろんおいらはヴィスコンティにすごく詳しいわけでもなく、観た映画の数も知れてるけど、あの映像をスクリーンで体感できるなら♪と、いそいそと観に行った訳です ![]() 本作はシチリア貴族のジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ(長いね(^^ゞ)が死の直前に完成させた生涯唯一の長篇小説が原作となっており、それを、ミラノを統治した名門貴族ヴィスコンティ家の末裔ルキノが映像にしたというものです。今回は、その映画の【イタリア語・完全復元版】。 ◆舞台はイタリア・シシリー島、統一戦争の時代。 映画タイトルの「山猫」は、主人公である名門貴族のサリナ公爵(バート・ランカスター)のところの紋章です。 ◆イタリアはブルボン王朝から、ビクトル・エマニュエル国王の統治下に入る事に。シシリー島の名門貴族であるサリナ公爵にとってはこの政治的変動はショックだった。 歴史という大きな歯車には逆らえず、そして自分の老いも重なって、一つの時代の終わりを実感していく・・。 ◆一方、公爵が息子のように可愛がっている甥のタンクレディ(アラン・ドロン)はブルボン王朝と戦う革命軍に参加する等、時代と共に生きている。 貴族という枠に囚われず、愛し・求婚する相手も貴族ではなく、公爵の別荘がある田舎の所の村長の娘。 まさに意気揚揚と「現代」を未来に向かって突き進んでいると言った感じ。颯爽と生きる姿を演じるアラン・ドロンがこれまた美しい(笑) そんな、時代と人の新旧交代、終焉と幕開け、、といった状況が描かれます。 まぁとにもかくにも、映像美の凄さにつきますね。 オープニング、屋敷の前の土地から部屋の一室にカメラが移るまでのあの景色。どこからそんな迫力が出るのだろうというぐらい。当然特殊効果もCGも一切無いわけで。いきなり最初から圧倒 ![]() そして、なんといっても後半の舞踏会はほんとすごかった ![]() ![]() マットな質感、絢爛豪華な装飾や衣装。その様子はまるで絵画の中の人物が動き出したかのようでもあり、ただただ、圧巻・・でした。 そんなとてつもなく煌びやかな舞踏会の中、一人「ここはもう自分の居る場所ではない」とでも言うかのように佇まう公爵。あの壁に掛かった病床の絵を眺め、少し気弱な台詞を発する様子。 そして、静かに舞踏会を後にする・・バート・ランカスターの渋みと哀愁。。 退廃美を描くビスコンティ作品という捕らえ方で考えるとラストの公爵の姿にももっとグッとこなくちゃいけないのかもしれないけど、なんかそういう感情移入うんぬんの次元じゃなかったかもねー^_^; まぁとにかく、この世界観と映像に酔いしれ、陶酔してたのは間違いなく。本当に素敵な「映画酔い」が出来ました♪ 映画館出た後暫く千鳥足状態だったのはほんといつ振りだろう。。いや、そういう映画をただ単に最近映画館で観てなかっただけってのもあるんでしょうけどね^^; (旧ブログより引越分) ![]() |
ボスニアの内戦勃発直後の世界を、実際にあった「捕虜の女性と恋に落ちた男性の話」をヒントにして作った作品。 映画の舞台は1992年のボスニア。セルビア人で鉄道技師のルカ(スラブコ・スティマチ)は、セルビアとの国境に近い村に越してきて、オペラ歌手の妻ヤドランカ(ヴェスナ・トリヴァリッチ)と、プロのサッカー選手をめざす息子のミロシュ(ブク・コスティッチ)との3人で暮らし始めたが・・・ “紛争なんて起こってないよ。”TVでどれだけ銃撃戦が報道されようと全く信じていなかった主人公ルカでしたが、ある時哀しい出来事が起こってしまう。 夢だったプロサッカー選手になれると決まってた息子が戦争へ徴兵。そして、敵側の捕虜となってしまう。 また、やたらと『アンナ・カレニナ』を引き合いに出してた嫁は案の定、他の男性と逃避行。 一人ぼっちになり、息子のことを案じて病まないルカの元に、息子と交換する為にと友人が捕まえたムスリム人女性が捕虜として暮らす事になる。。で、恋に落ちちゃうわけですね。 そんな二人の行く末を周囲の住民や動物を交え、終始、例のwふざけてんのか真面目なのかわからないようなテンションでもって描いていきます☆ 紛争の最中、最前線に程近い場所で暮らす、戦争とは全く関係のない人々。 なぜそこに敵・味方の違いがあるのか・・。具体的にそういった事に触れはせずとも、その不条理さがとてもよく伝わってきます。 クストリッツァ監督の有名どころ、『アンダーグラウンド』や『黒猫・白猫』と比べると、良くも悪くもハチャメチャさは少し落ち着き、コミカル加減もある意味洗練?といった感じでしょうか。とはいえ独特の切り口はやっぱりイケてますね〜♪♪素人ながら、唸らされます^_^; また今回、動物の配置や動かし方、その間(タイミングの”マ”)についてはすごく絶妙で、動物に関しては今までで一番かなと個人的には思います。 キーとなる「ロバ」は別として、特にそれ以外の細かい動物達がいいっww ロバはロバで、あんな守護神がほしいしね。。(笑) これも大好きな作品です ![]() (旧ブログより引越分) ![]() |
監督の故郷ユーゴの、1941〜1992までの戦争と政治にまみれた時代を舞台に、「地下で生活していた人たち」の生き様を中心に、3章に分けて描いた3時間の大叙事詩
大×3好きな映画の1つ![]()
中心となるのはある二人の男(親友)。そして、その周囲の人々も含めたアンダーグラウンドな世界と、その背景にあるユーゴの社会情勢を、時に直接的に、時に抽象的に描いていきます。 まずは、かなり簡単に、長〜い物語の全体像をw 『我らの父と子供たちへ。昔、あるところに国があった。その国の首都ベオグラード、1941年4月6日・・』 ■第一章:戦争・・1941年〜 ![]() ナチ侵攻をうけるベオグラード。そこにはパルチザンの義賊のマルコとその親友元電気屋のクロがいた。ナチスの共産党員狩りから逃げる為彼らとその周辺の人たちは地下室(アンダーグラウンド)に身を寄せ、秘密裏に武器の製造を行う。クロは、保身の為にナチス将校に近づく女性に恋をし、強引な方法でその女性をナチス将校から奪い、我が物にする。 ■第2章:冷戦・・1961年〜 ![]() もう第2次世界大戦は終わっているのに、アンダーグラウンドの生活者はなぜかまだ地下生活を送っていた。もちろん、戦争が終わっている事もしらずに・・ そこにはある人物の思惑があった。。 もう20年も地下生活をしていた彼らの中で、クロとその息子ヨヴァンは、いよいよ地上に出る事を決意。もちろん、「にっくきナチス」を倒す為だ。 地下で生まれたヨヴァンにとって、初めての太陽、初めての鹿、初めての水泳だった。そして、地下に残っていた人たちは、ある人物の手によって殺されてしまうのだった・・・そのうち、チトー大統領が死に、「ある国」はまた激動の時代を迎えようとしていた。。 ■第3章:戦争1991〜 ![]() ユーゴスラビア紛争の真っ只中。そんな中生き残っていた一部の地下室生活者の姿。 ・イヴァンは兄の本当の姿を知り、ある行動に出てしまう。 ・クロはまた戦火の中に身を置いていた。 クロはある国連軍の人間から質問をうける。「あなたはクロアチア勢力なのか?セルビア勢力なのか?」クロは答える。「俺はペタル・ポパラ"クロ"だ」 「所属部隊は?」 「俺の部隊だ」。「上官は誰?」 「"祖国"だ」 そしてクロは、親友マルコと偶然の再会を果すも、それは激しく燃え滾ったものだった。。^_^;疲れ果てたクロは再び訪れたアンダーグラウンドで、井戸からある声を聞き・・。 ********* 重要なあらすじは"かなり”省いてるのでわかりにくいかもしれないですが、まぁこんな感じ(笑) ![]() |
,b>アクセルは、叔父の結婚式の為にアリゾナへやって来た。そこで彼は、夫を射殺した過去を持つ未亡人の家に住み込み、自殺願望癖の娘と恋に落ちる。そして、それぞれの夢を抱いた人々は、自ら破滅の道を辿り始めるが……。
この映画の後のクストリッツァ作品を含めて考えても(全部入れてもまだ長編8作品の監督)これだけ有名どころが出演してるものは今の所これだけですね(笑)しかも故郷ユーゴの問題から離れ、舞台がアメリカ。恋愛要素が高い。と、結構毛色の違う1本。 アメリカではもう夢が持てないといいたいのか、 逆に、夢を見られる場所でいてくれと願っているのか。。 タイトルにも謳われてるように、「夢」がキーワードです。 「夢は実現したら夢じゃなくなるから、これでいい(叶えなくていい)」 物語の前半で聞こえる、主人公(J.デップ)の心の声。だけど本当は何かを探し、彷徨っている。他の誰も、何かしら夢・希望をもっている。 そして、その裏に同居する、『絶望感』『虚無感』とでもいいましょうか。 それぞれが何らかと葛藤している。 ![]() |
昨日3月9日の「蟲師試写会チケット」が手に入ったので観にいってきました。
オダギリジョーは好きだし、この作品が滋賀の山奥でロケされてた事やヴェネチア映画祭出品作で海外からのオファーも多く寄せられてる事ぐらいは知識にあったけど、肝心の漫画の事は全く知らず。大友監督も漫画の『AKIRA』は昔大好きででっかいコミックも持ってたけどほんとそれだけしかわからずです^^; 蟲師/2006年日本 監督:大友克洋/プロデューサー:小椋悟/EX.プロデューサー:パーク・サンミン,二宮清隆,泉英次 / 原作:漆原友紀 / 脚本:大友克洋,村井さだゆき / 撮影:柴主高秀 / 水中撮影:さのてつろう / 特殊メイク:中田彰輝 / 美術:池谷仙克 / 造型:中田彰輝 / 衣裳:千代田圭介 / 編集:上野聡一 / 音楽:配島邦明 / 衣裳デザイン:おおさわ千春 / 音響効果:北田雅也 / 出演:オダギリジョー,江角マキコ,大森南朋,蒼井優,りりィ,李麗仙,クノ真季子,守山玲愛,稲田英幸,沼田爆 他 〔ジャンル:ファンタジー/ミステリー〕 100年前の日本。時に人間にとりつき、奇妙な現象を引き起こす怪しき生きもの「蟲」がいる。そしてその命の源を探り、とりつかれた人々を癒す力を持った人間は「蟲師」と呼ばれていた。 その「蟲師」、ギンコ(オダギリジョー)が主人公ですね。 ギンコが蟲から人々を癒していく様と彼の生い立ち・秘密等の話が交差しながらストーリーは進みます。漫画を知らなくて話がわからない、という事は無かったです。 映像はとても綺麗で、自然の姿を存分に生かしていたと思います。 (あれは本当にあの滋賀の山々の風景だけ?w) フレームに収める構図というか、1つ1つ切り取ってもすごくバランスいいだろうなーって素人が思うぐらい、その辺も印象に残りました。画の色もなかなか良かったです。まれに全体の色で好き嫌いが出ちゃうきらいがある私なのでよかった。 そして、「蟲」の存在を巧みなVFXで表現しています。これは軽く想像してたよりクサくも無く、自然とうまくマッチしててそれなりにいい感じだったと思います。 ただ、漫画ファンの方々から観てそのイメージがあってるのかどうか、結構その表し方は重要なんじゃないかなぁ。実際、どうなんでしょうね。 ![]() |
まず、この映画の舞台となっている50年代初頭の背景として、 当時、東ヨーロッパ諸国のほとんどはソ連(現ロシア)の同盟国でしたが、ユーゴスラビアのチトー大統領はスターリンの大国主義に反発、東西どちらにも属さない独自の社会主義路線を確立しようとしていました。国内でもチトー体制をゆるぎないものにする為、スターリン派や親ソ派への弾圧や摘発が厳しくなっていたという事があります。(ブロダクションノート参照) そんなチトー主義と呼ばれる政治思想でもって1953年から大統領として君臨していたチトー元帥が亡くなった1980年の5年後に発表された作品です。 なんだかすごく社会性の強い作品のような書き出しになりましたが、決して重く見せているものではなく、あくまでそんな背景の中、スターリン派と疑われ遠い場所に強制労働に出された父親の事を出張に出ていると思って毎日過ごしている男の子を軸に、淡々と、ユーモラスに、適度な皮肉り方でもって1つの家族の姿を描いていきます。 日楽しく過ごしているようでも、子供心には知らず知らずのうちにストレスが溜まっていく。屈託の無い主人公は、普段は明るいもののそのうち夢遊病を起こすようになる。 やっと父親と再会、一緒に暮らせるようになったかと思えば今度は父親のだらしない女性関係を幾度となく目にする事になる・・ それでも何事も無かったかのように振舞う主人公ですが、エンディングでみせる主人公の振り向きざまの表情。。クスリトッツァ独特の動物使いや音楽、そして弾けぶりなどはこの頃はまだかなり押さえ気味ですが、やっぱりこの描き方はたまらない。少年を悩ませる根源をあの笑える顔で総括して皮肉ってしまう。少年の振り向きざまの顔と言えば同じくカンヌで賞をとってるトリュフォーの「大人は判ってくれない」が断然有名なんでしょうけど、こちらはこちらで全く別物ながら、いいですよね。あ、比べるなって話かな^^; クストリッツァ監督はは長編1作目の「ドリー・ベルを憶えているかい」('81)でヴェネチア金獅子賞を。そして若干30歳、長編2作目となる本作でカンヌのパルムドールを受賞、さらにこの後次々と名だたる賞をとっていくのですが、受賞するのと個人の好みは当然一致しないわけで。正直この作品に対して好き嫌いが分かれる可能性は高い気もしますが、はまればとてもはまりますね(そのままやん^^;) 私はこの作品に限らず、彼のスタンスにはすっかりはまっております。ちゅーか、メッチャ大好きなのだーー! ![]() <<旧ブログより引越記事>> ![]() |
SF小説好きの主人公は、常に小説のくだりを頭の中で語っている。それは、ただ空想に耽る事で気を紛らわせているのか、あるいは心を軽くする為フィクションの中に現実の状況を置き換えているのか・・。 またその小説の内容が、主人公が思い返しているだけではなくもしかしたら物語の展開にも関わってくるのかと匂わせるようなエピソードが少し加えられていたりもします。 静かに、献身的に愛を与える主人公アントニオ。 でも、相手の女性マリアは一向にその気持ちに応えようとはしない・・ そのうちアントニオは彼女の為に自分を犠牲にする事に疲れ、マリアの元から離れていく事に。。 愛情については主人公側からの目線が最初は中心だったので、その主人公の純粋な愛があまりにも痛々しくて^^;相手の女性のあの態度に何度もムカツきかけたけどwそれもこれもその愛にうまく甘えられなかった彼女の心の葛藤を知ってしまったらこれまた切なさが増して・・(T_T)その気持ちの部分も後でさりげなくバラす所がまたいい。もちろん全体的に大げさだとかクサい演出はないんだけど。だからいいんだけど。 それぞれ心に寂しさを抱えている男女の、静かでゆっくりとした触れ合い。最後はなんて穏やかで暖かい終わり方でしょぉ。台詞は無く、2人の表情が全ての感情を物語る。特にチェッカレッリのあの微笑が凄い。。う〜ん、堪りません♪ アントニオ演じるカーショは穏やかな表情と物腰でもって、とてもナイーブでありつつも芯の強さも感じさせてくれる雰囲気を十分に醸し出してくれます。 マリア役のチェッカレッリも、母子家庭で生計に疲れ果て、別の男にも悩まされ、常に苦虫を噛んでるような表情から、精神的トラウマを抱えながらうまく愛情を表現できない複雑な感情、そして心から溢れ出る幸せな感情を、絶妙に巧みに見せてくれました。 こやつらほんと幅広いっ(爆) はぁ。。今思い返しても、切なさが心いっぱいに染みわたりますぅ・・ (記事引越完了分) ![]() |
原作は、ニコロ・アンマニーティがイタリアの文学賞を受賞した同名ベストセラー小説。本作では脚本も手がけています。監督は「エーゲ海の天使」、「ニルヴァーナ」のガブリエレ・サルヴァトレス。 ジャケとタイトルから、子供の冒険活劇を想像されるかと思われます。まさしくその通りなのではありますが(笑)とても素敵な出来栄えの1作だと個人的には思っておるのです☆ まずは映像と音楽がとにかく素敵です。本当に綺麗。音楽はクラッシック調(調、なのかホントにクラシックにこういう曲があるのか、うといんでね〜( ̄▽ ̄; )) 映像は、イタリアの田舎町の広大な風景を存分に生かし映し出されます。壮大な麦畑に紛れる子供の姿はとても印象的です。 お話しはもちろん(?)子供目線で描かれます。 大人のある画策を、主人公の男の子が偶然、ひょんな所から見つけてしまう。最初はただ、興味本位だったその行為は、次第に小さな町全体を巻き込んでいく事になる。 誰にも言えない秘密を持ってしまった主人公。 普通に暮らしてたって親っていうものは優しくもあり怖い存在。ちょっとしたことで叱られるし。さらに、訳のわからない怖い大人たちが自分のウチに集まってきている。何か、怪しい雰囲気が漂っている。。 どうするべきか悩みながらも、やっぱり、ただ、 「守ってあげなきゃ」。。でも、その純粋な思いが逆に悲惨な事件へと進ませてしまう事になる・・ 最後のシーンは、本当にキューーーン。。 です(笑)しかも、痛々しいのに、う、美しい (笑)しかし、最後のあの場所のあの時間になぜヘリコプターが来てたのか、今考えても疑問だ。。もちろんあのシーンにヘリコプターがいないとあの素敵な演出は出来ないわけなんだけど・・・って、ちょっと野暮な疑問だね^^; (記事引越完了分) ![]() |
高校を卒業したばかりの夏。ある一人の人妻と「天国の口(クチ)」を目指した2人の17歳の少年。ほろ苦くて切ない、青春ロードムービー。けど決してさわやかには語らない【R-15指定】(笑)
いかにも17歳の男の子達というテンションでもって期待に胸膨らませた小旅行が始まりますが、途中、ルイサとテノッチが肉体関係を持ってしまい、それをフリオが目撃してしまったところから、何かと衝突が起き始め、微妙な空気が流れ始めます。 お互いに隠していた重要な出来事もばらしてしまい、衝突。ゆるぎないはずの友情が、ぐらつき始める。ルイサも含め、少しギクシャクした、重い雰囲気のまま旅は続行しますが、なんとか偶然にも彼らは本当に「天国の口」を見つける・・ 旅が始まる前も始まってからも、モロなセックスシーンや如何わしい行為(笑)が多々あるのですが、これが意外と作品の内容に重要に関わる行為だったりするんですよね〜w単なるエロい描写を見せてるわけではなく、 時に少年たちの若さと青さと勢いを表し、 時に新しい冒険を表し、 時に、過去から新しい世界へ少し踏み出すきっかけとなるものだったり、、重要な要素の一つになっていると思うのです。 そして、ある人にとっては、それはきっと生きてる証、足跡でもあるわけで・・。 ・・これは、最後に明かされる事実を知ってからそう解釈するのですが。。 美しいビーチでお互いのわだかまりも解け、改めて絆を深めた3人はその夜、お酒にも酔いしれながら、何かの壁を越えたかのように、ごく自然に、お互いを求め、受け入れあっていく・・ そして、それを境に、それぞれ別の道を進んでいく事になる。 キャッチコピーが謳うように、『もう、会う事もない・・』・・・ 少年の壁を超え、少し大人の階段を登ったフリオとテノッチには、あの暑い一夏の経験は二度と戻ってこないけど、少し切なく、少し苦く、心に刻まれているのですね。 また、この物語には、登場人物とはまた別の「第3者」のナレーションが入り、それぞれの人物の気持ちや過去未来の経緯などを説明していきます。結末を知ってから見直すと、途中のナレーションで結末にまつわる重要な想いや何かを語っている事に改めて気付いたりもします。 しかし、あの三人のあの大事なシーン、ガエル君とディエゴ君は実生活でも幼少から親友な訳で、演技とは言え親友同士でああいうシーンを取るのはどんな思いだったんだろう(笑) また、この作品で親友同士二人揃ってヴェネチア国際映画祭の新人俳優賞<マルチェロ・マストロヤンニ賞>を獲得。 ガエル君は実際にマストロヤンニやクラウス・キンスキーのキャリアのスタイルに憧れているというから、デビュー作の『アモーレス・ペロス』で既にどっかの男優賞を取ってはいたけど、これはこれでまたぴったりの賞ですね(笑) 実際に彼も母国スペイン語のみならず、英語、フランス語、イタリア語等複数言語を話し、各国の映画に出ているし、このまま個性的な作品の出演を続けてくれるとこちらとしても色んな意味で一石二鳥でありがたい^^; (記事引越完了分) ![]() |
結婚間近の女性が、あるきっかけで出会った恋人以外の男性のアプローチによりどんどんそちらに惹かれていってしまう。 いわゆる三角関係に陥ってしまった切ない恋の行方は?なんて進んでいくんだけど、終盤あっと驚く予想外の事実が待ち受けている。さらにそこからもまだどんでん返しがくるわけだね〜! キャッチコピーなどで謳われてた『衝撃のラスト』というふれこみはちょっと大げさすぎる気がするけど。でも十分面白い展開です♪ ![]() |
デンゼル・ワシントンが悪役を演じる。という事が特に話題にのぼったこの作品ですが、個人的にはワシントンやイーサン・ホークが出るメジャーな作品にDr.DreとSNOOPが共演する! というのが一番のポイントでしたw 彼らもちょくちょく映画は出てるけど大抵はB、C級ものだしな〜(笑)
ブラック・ムービーではないけどソッチ系の見所も盛りだくさん^_^; 製作スタッフのコネにより本物のGETTO達が街ごと出演し、ワシントンはクロ系(今でいうB−系?w)アイテムをてんこもり身につけ、ローライダー系ドレスアップを施したキャデに乗る。エンジンをかけると同時にDreの『STILL DRE』が流れた時は、そのかっこよさにちょっと感動w (この頃の私の着メロもSTILL DREだった♪)どうせならもっとホッピンさせてくれたらよかったのに(笑) ストーリーは、正義の名のもとに『必要悪』はどこまで許されるのか、そもそも、ほんとに必要なのか否か。について、犯罪摘発の為に自らの手を汚す事も厭わないベテラン刑事と、配属してきたばかりの真っさらな新人刑事という対照的な2人を立てて描いていくといった感じかな。ちょっと要約しすぎかもだけど。 新人ジェイク(ホーク)はベテラン刑事アロンソ(ワシントン)の考えに染まっていくのか、それとも・・ 「悪役」と言い切ってしまうとちょっと違う気のするアロンソの役柄をワシントンが熱演。見応え十分。 ジェイク(ホーク)に語る独自の理論にはこちらもつい流されそうになるw 汚れる事のできない新人刑事役がイーサン・ホークなのもはまっていたし。 スコット・グレンも中々味わいがあって渋かったですね。 トム・ベレンジャーは個人的にはこういうのじゃなくてワイルドで行って欲しいw 肝心のDreは存在感薄かったけどSNOOPは見事やってくれた(爆) ラストの締め方がちょっとしっくりこなかったのが残念だったけど、まぁ、たった一日の事とは思えないほど色んな出来事満載だった“トレーニングデイ”を纏めるのは難しいでしょう。という事で気持ちを丸く収めておいたのですがね^^; 繰り返しちゃうけどほんとこれたった一日の中で色んな意味での「TRAINING」がめまぐるしく起きるし、休む暇なく一気に最後まで行っちゃった。といった感じで満足させてもらった作品です。 (記事引越完了分) ![]() |
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